今から22年以上前、2004年東京都墨田区でカスハラが発展し殺人事件が起こりました。
事件の加害者は、当時26歳の牛丼チェーン店の店長。被害者は36歳の普段は寡黙な介護士でした。2人は牛丼店のクレーマーと店長の関係で、カスタマーハラスメントが発端でした。
カスハラが引き金となった殺人事件

事件の発端は、些細なクレームでした。被害者の介護士は、まず、牛丼店で持ち帰り弁当を待っていた時にお水が出ないことに腹を立て、店員にクレームを付けました。そして、帰宅後、購入した弁当が「横になっていた」として苦情を申し立て、店長を自宅に呼びつけクレームを言い続け、店長は自分の財布からお金を渡し解放されました。
これがきっかけとなり、彼は店に対して執拗なクレームを繰り返すようになります。電話での抗議は十数回に及び、店長は謝罪のために現金を渡すなど、対応に追われました。
しかし、クレームは止むことなく、ついには店舗に直接現れては店員に難癖をつけるようになりました。店長は本部に相談することもできず、孤立したまま精神的に追い詰められていき、そして2004年9月12日、店長はクレーマー介護士の自宅を訪れ、ナイフで十数か所を刺して殺害。
事件後も通常通り勤務を続けていましたが、通話記録などから逮捕されました。
真面目な店長が追い詰められた企業の構造的な問題
店長は真面目では勤務態度も良かったと言われています。真面目で仕事もできたことが評価され、異例のスピードで昇進した人物でした。しかし、接客経験が浅く、クレーム対応のノウハウも乏しい中で、過剰な顧客対応を一人で抱え込んでいたようです。
当時の企業側のサポート体制の不備も問題でした。店長は本部に相談することなく、現場での対応を強いられました。
これは「顧客第一主義」が過剰に働き、現場の従業員に過度な責任を押し付ける構造の弊害であるといえます。

カスハラの定義とは
カスハラとは、顧客が立場を利用して従業員に対して不当な要求や暴言、暴力を行う行為を指します。近年では、暴力や脅迫だけでなく、長時間の拘束、人格否定、SNSでの誹謗中傷なども含まれるようになってきました。
また、「真面目な人ほどカスハラの標的になりやすい」とも言われており、真摯に対応しようとする従業員がカスハラ加害者にとって攻撃しやすいと認識される傾向があります。
厚生労働省の調査によれば、サービス業に従事する労働者の約7割がカスハラを経験しており、そのうち3割以上が「精神的に深刻な影響を受けた」と回答しています。これは単なる「クレーム対応」の範疇を超えた、労働環境の安全性に関わる問題です。
外部委託によるカスハラ対応の必要性
このような背景を踏まえると、カスハラ対応を現場の従業員に任せるのは限界があります。そこで注目されるのが、カスハラ対応の「外部委託」です。具体的には、以下のような形が考えられます。
カスハラ対応の外部委託する方法3種類

特に、企業で対応後カスハラに発展したものを危機管理に長けた企業へ外部委託し専門的にクレーマーへ対応する方法をとることが、従業員の心の安全にもつながる最善策です。
「お客様は神様」からの脱却を
日本社会には長らく「お客様は神様」という価値観が根付いてきました。しかし、それが従業員の尊厳や安全を脅かすようでは本末転倒です。企業は、従業員を守ることが顧客満足にもつながるという視点を持つべきでしょう。
2004年の事件は、単なる個人の暴走ではなく、社会全体が見直すべき構造的な問題を浮き彫りにした問題です。今こそ、カスハラに対する明確な線引きと、外部委託を含む多層的な対応体制の整備が求められています。
(参考:https://www.kkinternational.work/2022/09/24/adachi-gyudon-claimer/:ダイアモンドオンラインhttps://diamond.jp/articles/-/184322)