マタニティハラスメントとは妊娠・出産した「女性労働者」や育児休業等を申出・取得した「男女労働者」の就業環境が害されることです。
妊娠の状態や育児休業制度等の利用等と嫌がらせとなる行為の間に因果関係があるものがハラスメント(※1)に該当します。女性の妊娠・出産に対して差別的な扱いや不当なプレッシャーをかけることをだけでなく、男性の育児休業取得に対しても同僚や上司等から嫌がらせなどを受け、就業環境を害されることを言います。(パタニティハラスメント)
(※1)「ハラスメント」とは、他人に対して嫌がらせや迷惑をかける行為や言動のことを指します。職場のハラスメントには主に、パワーハラスメント(パワハラ)、セクシュアルハラスメント(セクハラ)、 妊娠・出産に関するハラスメント(マタハラ)があり、3大ハラスメントとも呼ばれています。
2024/9/25更新
マタニティハラスメントの問題点
マタニティハラスメントは女性のキャリアに深刻な影響を及ぼします。妊娠や出産による休暇や柔軟な労働時間の取得に対して、退職を促すなど周囲が否定的な態度を示すような精神的な嫌がらせによって昇進やプロジェクト参加の機会を失い、職場での地位の低下や退職に追い込まれることもあります。

マタニティハラスメントはなぜ起こるのか?
マタニティハラスメントが起こるのは妊娠出産に無理解な男性から女性へだけではありません。女性同士でも起こります。産休や時短勤務を取得するということは、周囲のスタッフへの負担が大きくなります。そのため、同じ女性であっても「こんな忙しい時期に時短勤務なんて迷惑だ」「妊婦さんだから雑務だけしか任せられない」「私の時は子供が熱を出していても出勤した」などハラスメントととられる言動や行動をすることがあります。
マタニティハラスメントの原因は周囲の人の妊娠出産育児に対する無理解が大きいでしょう。性別にかかわらず、自身が経験していないことを想像するのは難しいかもしれません。しかし、女性の社会進出が当たり前となっている現代、お互いに想像し合い助け合える社内風土にすることが大切です。
休暇を取る側も周囲の人に感謝の気持ちを持つことが大切です。
マタニティハラスメントの法的な保護
マタニティハラスメントを防止するために事業主には、「男女雇用機会均等法第11条の3及び育児・介護休業法第25条、」職場における妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントについて、防止措置を講じることを義務付けています。
女性の妊娠・出産・育児が守られるために法が定められています。
法を理解し安心して妊娠・出産が迎えられるよう目指しましょう。
(職場における妊娠、出産等に関する言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置等)
第11条の3 事業主は、職場において行われるその雇用する女性労働者に対する当該女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、妊娠又は出産に関する事由であって厚生労働省令で定めるものに関する言動により該当女性労働者の就業環境が害されることのないよう、当該女性労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
2 第11条第2項の規定(Ⅱ-1参照)は、労働者が前項の相談を行い、または事業主による当該相談への対応に協力した際に事実を述べた場合について準用する。
〈男女雇用機会均等法(抄)〉
(職場における育児休業等に関する言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置等)
第25条 事業主は、職場において行われるその雇用する労働者に対する育児休業、介護休業その他の子の養育又は家族の介護に関する厚生労働省で定める制度又は措置の利用に関する言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
2 事業主は、労働者が前項の相談を行ったこと又は事業主による当該相談への対応に協力した際に事実を述べたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取り扱いをしてはならない。
〈育児・介護休業法(抄)〉
出典:【厚生労働省】明るい職場応援団https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/foreign_workers_jp/3maternity
マタニティハラスメントの解決策
1.教育と意識の向上
マタニティハラスメントを解決するためには、職場内での教育と意識の向上が必要です。従業員に対してマタニティハラスメントの意味や影響について教育することで問題の深刻さを理解させることが重要です。また上司に対しても妊娠や出産に対する理解とサポートの重要性を啓発する必要があります。
2.事前に防止
マタニティハラスメントは事前に防止することが望ましいと考えられます。最初は上司や同僚からの何気ない嫌味や心無い言葉など、軽いレベルのものから始まるとされています。被害者はその場では空気を読み我慢し続けてしまうケースがありますが、そういった軽いレベルのハラスメントから次第に大きな問題に発展する可能性もあります。初期段階から速やかに対応し、重大なハラスメントになることを防ぐことが重要なのです。
3.相談窓口の設置
企業は相談窓口を設置し従業員に広く周知させることが望ましいです。妊娠・出産・育児休業などによるハラスメントが現実に生じている場合だけでなく、マタニティハラスメントに該当するか否か微妙な場合でも広く相談できる窓口を開設することが望まれます。
被害を受けた者が、社内の相談窓口に相談しにくい場合もあります。そのため企業は社外相談窓口を設置することが望ましいです。社外相談窓口があれば第三者機関(日本公益通報サービス株式会社)が通報者の保護をしながら解決へ向けて相談することができます。
第三者機関(日本公益通報サービス株式会社)であれば匿名で通報することも可能なため従業員のプライバシーを尊重することができます。
まとめ
マタニティハラスメントは職場における女性の権利と尊厳を侵害する深刻な問題です。法的に保護がされているためそのことを従業員が知ること、どういった言動や行動がはハラスメントにあたるか周知し、意識を変化させていくことが重要です。それに伴い、社外の相談窓口(日本公益通報サービス株式会社)を設置をすることにより、問題が起こっても迅速に対応するため従業員の安心につながります。企業は、早期に問題を発見、解決に導くことができるため、企業利益にもつながります。
職場は、女性の妊娠・出産・育児を経験する際に安心して働ける場となるよう積極的な取り組みを行うべきです。マタニティハラスメントがなくなることがジェンダー平等と職場の多様性を促進するために必要なことであり、社会全体で取り組むべき大きな問題です。
