こども家庭庁が所管する「こども性暴力防止法」(正式名称:『学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律』)が、いよいよ令和8年(2026年)12月25日に施行されます。
子どもたちを預かる教育・保育の現場に大きな変化をもたらすこの新法。私たちは今、子どもを取り巻く「性暴力」の実態について、改めて正しい知識を持つことが求められています。
加害者は「身近な大人」であるという現実
「子どもを狙う性暴力」と聞くと、多くの人が「夜道に潜む見知らぬ不審者」を思い浮かべるかもしれません。しかし、近年のニュースでも多く報じられているように、実際の加害者は以下のような「子どもが信頼している人物」であることが少なくありません。
- 家族・親戚
- 学校の教員、塾の講師、習い事のコーチ
- 身近な知人・友人
子どもを守るべき立場にある大人が加害者になってしまう――これが、子どもを対象とした性暴力の極めて深刻で、根深い特徴です。
子どもが「嫌だ」と抵抗できず、誰にも言えない理由
被害に遭った子どもが、その場ですぐに抵抗したり、周囲の大人に助けを求めたりすることは容易ではありません。そこには、子どもならではの心理的・状況的な障壁が存在します。
- 「相手が怖い」という恐怖心
力関係が圧倒的に上の大人を前に、恐怖で身体がすくんでしまいます。
- 「信頼している人だから」という混乱
大好きな先生や親戚など、信頼している相手から行為をされるため、「これは何だろう?」と脳がパニックを起こし、事態を拒絶できなくなります。
- 「二人の秘密だよ」という口止め
「特別な関係だから」「誰かに言うと大変なことになる」などと言い含められ、罪悪感や責任感を植え付けられます。
- 「自分が悪い」という思い込み
「自分が言うことを聞かなかったからだ」「自分が変な態度をとったからだ」と、被害者であるはずの子ども自身が自分を責めてしまいます。
- 「何が起きたのか理解できない」
まだ性的な知識が十分でない年齢の場合、自分がされていることが「性被害」であること自体が認識できません。
私たち大人が持つべき「一番大切な認識」
もしも、あなたの身近な子ども、あるいは大切な我が子が被害に遭ってしまったとき。 あるいは、勇気を出して打ち明けてくれたとき。
「どうして、もっと早く言わなかったの?」
この言葉は、決して口にしてはなりません。この問いかけは、子どもにとっては「言わなかったあなたが悪い」と責められているように聞こえ、さらに深く傷つき、心を閉ざしてしまう原因になります。
私たちが持っておくべきなのは、「言えなかったのが普通なんだ」という認識です。
言えなかったのは、子どもが弱かったからでも、悪かったからでもありません。言えないような状況と関係性に追い込まれていたからです。
「話してくれてありがとう」「あなたは1ミリも悪くないよ」と、子どもの心に寄り添い、全力で守る姿勢を示すこと。新しい法律が始まる今、私たち大人一人ひとりが、この正しい理解をアップデートしていくことが大切です。

家庭でできる予防対策――子どもを守る5つの柱
法律による規制が進む一方で、子どもを性暴力から守るためには「家庭での予防対策」も欠かせません。日頃から家庭でできる具体的なアプローチとして、以下の5つが挙げられます。
- プライベートゾーンの教育
「水着で隠れる部分(口含む)は、自分だけの特別な場所」であることを教え、他人にジロジロ見られたり、触られたりしてはいけないこと、また他人の場所を傷つけてはいけないことを伝えます。
- 「嫌だったら誰が相手でも断っていい」と伝える
たとえ先生や親戚、近所の知人など、子どもにとって「目上の大人」であっても、自分が嫌だと感じることをされたら「ノー」と言っていいのだと、繰り返し教えてあげてください。
- 「秘密にしなくていい」と教える
加害者はよく「二人だけの秘密だよ」と口止めをします。「悲しいことや嫌なことは、誰にも内緒にしなくていいんだよ」と日頃から言い聞かせることが、口止めという呪縛を解く鍵になります。
- 叱らずに、まずは落ち着いて話を聞く
子どもが何かを打ち明けてくれたとき、大人がパニックになったり、「なんでそんなところへ行ったの!」と叱ったりすると、子どもは話すのをやめてしまいます。まずは深呼吸をして、落ち着いて耳を傾ける姿勢が重要です。
- 普段から何でも話せる関係性を築く
日常のささいな出来事や、「今日楽しかったこと」「嫌だったこと」を気軽に話せる関係を作っておくことが、いざというときのSOSに繋がります。

見落としてはならない「ネットの向こう側」にある危機
今の時代、小学生でもスマートフォンを持つことが珍しくなくなりました。これにより、性暴力の危機は「リアルな世界」だけでなく、「インターネットの世界」にも急速に広がっています。
- オンラインゲームや各種SNS
チャット機能などを通じて、最初は「共通の趣味を持つ優しい友達」として近づいてきます。
- 時間をかける悪質な手口「グルーミング」
加害者はネット上で長い時間をかけて子どもの悩みを聞いたり、優しくしたりして、徹底的に子どもの信頼を勝ち取ります。そして、十分に警戒心を解いてから、本性を現します。
- 「写真の要求」という罠
信頼関係ができた後、「顔写真を送って」「服を着ていない写真を送って」などと要求し、一度送ってしまうとそれを脅しに使って被害がエスカレートします。
顔の見えない「知らない人」だけでなく、画面の向こう側で「信頼できる人」に変装した悪意が潜んでいることを、私たち大人は決して忘れてはなりません。
性教育は「自分を守るための教育」
性教育と聞くと、少し身構えてしまう方もいるかもしれません。しかし本来、性教育とは単なる「性の話」ではなく、「自分の体と心を大切にし、守るための教育」です。
親子間で、お子様の小さな変化(表情が暗くなった、体調不良を訴えるようになった、スマホを異常に隠すようになったなど)に気づいてあげられるよう、普段から温かく見守ることが何より大切です。
子どもが安心して「助けて」とSOSを出せる家庭、そして環境であること。それこそが、性暴力から子どもを守る、最も強固な予防策になります。
事業者様へ、子どもたちを預かる現場の安心を守るために

「こども性暴力防止法(日本版DBS)」の施行に伴い、子どもたちの安全を守る環境づくりは、ご家庭だけでなく、学校や学習塾、保育施設などの「子どもを預かる事業者様」にとっても法的・社会的な義務となります。
しかし、「実際に現場でトラブルや懸念が生じたとき、どのように初期対応すべきか分からない」「子どもや保護者からのデリケートな相談に、客観的かつ適切に対応できるか不安」という課題を抱えている事業者様も多いのではないでしょうか。
日本公益通報サービスが提供する「こども性暴力防止法への対応支援」
日本公益通報サービス株式会社では、企業危機管理や働きやすい職場づくりの一環として、子どもを対象とした性暴力防止対策の外部相談窓口・対応支援サービスを提供しております。
事業者様の体制やニーズに合わせて、最適なプランをお選びいただけます。
- 【Aプラン】コンサル対応型相談窓口(初期費用無料)
外部窓口としての受付(電話・メール)に加え、通報や相談があった際の初期対応、その後の対応アドバイスなど、コンサルティングまでを包括した標準プランです。
- 【Bプラン】通報内容ヒアリング調査パッケージ(初期費用無料)
Aプランの窓口受付・コンサル対応に加え、専門知識を持った当社スタッフが通報者や関係者へのヒアリング調査までをパッケージで行うフルサポートプランです。
外部窓口を設置するメリット
学内や社内の人間には打ち明けにくいデリケートな問題も、独立した第三者機関である外部窓口があることで、早期発見・早期解決へと繋がります。また、専門家によるバックアップがあることで、組織としての二次被害や対応の遅れを防ぎ、子どもたちと組織の双方を守ることができます。
「どこから対策を始めればいいか分からない」「法改正に合わせた体制を整えたい」とお考えの事業者様は、ぜひお気軽に当社までご相談・資料請求をしてください。子どもたちが安心して過ごせる未来を、一緒に作っていきましょう。