1億総活躍社会の実現に向けた取り組みのひとつに“働き方改革”があります。
これは、「個々の事情に応じ、様々な働き方を選択できる社会を実現し、働く1人ひとりが良い将来の展望を持てるようにすることを目指す」というものです。
参考:厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322.html
働き方改革実行計画9つのテーマには「長時間労働の是正」という項目があります。残業の規制などの働き方の見直しをしようというものです。この改革が時短ハラスメントという問題に繋がっているという指摘があります。
時短ハラスメント(ジタハラ)とは?
従業員に対して、仕事の量は以前と変化がないにもかかわらず業務時間の短縮を強要することを時短ハラスメントと言います。
日本では長時間働くことこそ有意義であるという企業文化が、長年にわたり根付いてきました。残業は当たり前のこととなり、それを含めた時間で通常の業務を回す企業が多くありました。
そのため、働き方改革では業務の効率化を図るために時間外労働を抑制し、ワークライフバランス(※1)を整えるよう導いています。しかし、多くの企業では特に対策を講じず従業員に定時退社を強要したため、終わらなかった仕事を家に持ち帰るケースや、サービス残業をせざるを得ない状況が出てきました。
(※1)ワークライフバランスとは、仕事とプライベートな生活の間の調和を意味します。
労働時間を短くしても業務量が以前と同じなら、モチベーションが維持できなくなるかも。
ジタハラが起こるとどうなる? 3つの具体例

1・業務の質が落ち、企業のイメージダウンに繋がる
労働時間と仕事量のバランスが崩れると、業務の効率化が悪くなります。請け負った仕事の質が落ちクライアントからの信頼を失いかねません。
また、一定量を超えた業務を従業員に強要することはジタハラに該当するので注意しなければなりません。
2・密かに持ち帰る残業が増え、企業の情報が外部に漏れる
時間内に終わらなかった仕事を持ち帰るケースにおいては、個人情報や社外秘の資料の紛失・流失が懸念されます。資料の流失は企業にとって莫大な損害を被る場合があり、裁判にまで発展しかねません。さらにクライアントなどの個人情報が漏れた場合、企業は社会的信頼を失い大々的に報道される可能性もあります。持ち帰り残業はセキュリティの面での問題が大きいと言えるでしょう。
また、密かに持ち帰った業務はサービス残業となり賃金は発生しません。これもジタハラに該当します。
3・離職率が高くなり、優秀な人材が集まらない
勤務する時間に対し適正でない仕事の量は、従業員に厳しいノルマを課すことになります。これにより働く人のモチベーションが低下し、離職率も高くなります。上司の叱責により心身のバランスを崩し、休職に追い込まれる従業員が出てくるかもしれません。人手不足の企業には優秀な人材は集まりにくくなります。
ジタハラの解決策とは?
ジタハラの解決には、単に仕事の量を調整すればいいということではありません。業務のクオリティを下げずに時間内に仕事が終われるよう、具体的な対策と指示が必要です。まずは業務の優先順位を明確にし、一定のポジションの従業員に仕事の量が偏っていないか体制の見直しも大切なプロセスです。
さらに、アウトソーシングの活用などで業務の効率化を図るという案もあります。アウトソーシングなら定期的に発生するピンポイントの業務がある場合、必要な時に人材の活用が可能なためコスト削減にも繋がります。
アウトソーシングの活用などで業務の効率化を図り、現場の声を取り入れるボトムアップ型(※2)の導入などハラスメント防止に早めの対策を講じましょう。
(※2)ボトムアップ型とは、経営陣などの上層部が現場の従業員の意見を積極的に吸い上げ、それをもとに意思決定していくスタイルのことを意味します。
まずは体制の見直しにとりかかりましょう。
相談窓口設置のすすめ

相談窓口の設置も問題の早期発見と解決には必要です。しかし、相談を受けた側が未熟な発言をしてしまうとセカンドハラスメント(※3)になってしまう可能性があるので十分に気を付けなければなりません。
外部委託の相談窓口なら傾聴力に優れたオペレーターが、まずは相談者の気持ちを的確に把握し解決へのアシストをします。さらに、外部委託の窓口設置なら容易に導入が可能なため企業にとってもメリットが大きいと言えます。
(※3)セカンドハラスメントとは、被害者が周囲に被害を告白したことによって起きる二度目のハラスメント被害のことです。
まとめ
2023年4月1日より中小企業にも月60時間を超える時間外労働について、割増賃金率50%以上を支払う義務が生じました。これは働き方改革の一環として時間外労働を抑制するための策ですが、これにより新たなハラスメントが発生してはいけません。
適正な業務量の見直しを図ることで、ワークライフバランスも整います。仕事とプライベートの調和がとれ、両方を充実させられるような社会を目指しましょう。