コラム

内部不正の具体的な事例は?⑥交通費の不正申請

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交通費の不正申請とは

通常、交通費の申請を会社へするには、最寄り駅、交通手段、通勤経路、を知らせます。出張費の申請では会社所定の用紙やシステムに目的、交通手段、宿泊先を知らせますが故意に会社から多めに交通費をだまし取ると「不正受給」となってしまいます。

一般の企業のみならず、現役の政治家による不正時給問題も多く報道されており、ガバナンス(※1)が効いていないことが明白です。

これらの行為は、企業にとって大きな損失をもたらすだけでなく、社員間の信頼関係を損なうことにもつながります。そのため、企業は徹底した監査を行い、不正申請が発覚した場合は厳正に対処する必要があります。

(※1)ガバナンスとは、組織やシステムの運営や管理を指す言葉であり、特に企業や組織においては、経営者や役員が法令や倫理規範に基づき、透明性や公正性を確保しながら意思決定を行う仕組みやプロセスを指します。

通報事例:内部告発による交通費の不正受給の発覚

今回は交通費の不正受給の内部告発についての事例をご紹介します。

ある不動産会社の経理担当者からの告発です。

○○支店のA支店長は不正に交通費の申請をしている疑いがあります。

内部告発を受け、コンプライアンス担当者は速やかに通報者へヒアリングをします。

不正に申請していると思ったことをもう少し詳しくお聞かせください。

交通費の申請は、必ず経理担当者の承認を得てから提出するという社内ルールなのに、A支店長は自分の印鑑を押して提出しているときがあるんです。
あと、そういった時の交通費の申請先にはクライアントが無いんですよ。
しかもその場所が、釣り人の中では有名なスポットなんです。
A支店長って釣りが趣味でしたよね?だから何かおかしいと思ったんです。

内部不正が報告された場合速やかに社内調査をする必要があります。社内調査をする際に気を付けなければならないことは、調査対象者に内密に行うことです。対象者へ分かってしまうと証拠品が廃棄される恐れがあり、追及ができなくなる可能性があります。

対象者へヒアリング

通報者への聞き取り調査をもとに、不正の疑いがある証拠を確認、出張先は有名な釣り場であることがわかり、A支店長へヒアリングを実施します。

また、証拠を押さえるためには現地へ行って確認をする必要があります。

交通費申請の件で聞きたいことがあります。
社内ルールを守らず自分の捺印で交通費申請をしている書類がありますが,
理由を教えてください。
また、交通費の出張先にはクライアントがいませんが何のためにどこへいかれたのですか?

聞き取りの結果

仕事以外で釣りに行くためのガソリン代、高速代、宿泊費を申請してたことの確認がとれました。さらに、釣りに行った時の飲食代を接待費として申請していたことを自白しました。

対象者のその後

今回の対象者であるA支店長は懲戒処分となりました。

不正申請が発覚した場合、罰則は企業によって異なりますが、一般的には以下のような処分が考えられます。

  1. 懲戒解雇:不正申請が重大な場合、社則違反の場合は、懲戒解雇に至ることもあります。
  2. 減給:不正申請の金額に応じて、減給処分を受けることがあります。
  3. 賠償請求:不正申請によって企業が損害を受けた場合、損害賠償を請求されることがあります。
  4. 刑事罰:詐欺罪や偽計業務妨害罪などの犯罪に該当する場合、刑事罰を受けることもあります。

ただし、企業によっては自主的に行う内部調査によって処分を決定する場合もあります。不正申請は企業にとって重大な問題であるため、正確かつ適切な処分が求められます。

民法第703条【不当利得の返還義務】
法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。

※民法第703条は、不当に得た利益を返還する義務を定めた法律です。交通費不正受給がこの条文に該当するかは各々によって異なります。ただし、交通費の不正受給が不当な利益に該当する場合は、この条文が適用される可能性があります。

パワハラ防止法・改正公益通報者保護法対策の窓口整備はお任せください。

まとめ

社員に対しては、交通費の規程や申請方法を明確に説明し、不正申請が発覚した場合は厳しい処分を行うことで、不正行為を防止することが求められます。

また、企業側もシステムの改善や監査体制の強化など、不正申請を未然に防ぐための対策を講じることが大切です。これらの取り組みによって、企業と社員の信頼関係を守り、健全な経営を維持することができます。

交通費の不正受給に対して、通報窓口を設置することで、従業員が匿名で不正行為を報告することができます。

通報窓口を設置することで、従業員が不正受給を行っている場合でも、他の従業員が通報することで早期に問題を発見し、適切な対処を行うことができます。

通報窓口は、社内に設置する場合や、外部の専門機関に委託する場合など、様々な形態があります。

ただし、社内の通報窓口の場合匿名性が守られなかったり通報者の不利益になることを恐れて告発しにくい可能性があります。従業員が不正行為を報告しやすい環境を整備するために、社外の通報窓口を設置することが重要です。

社外通報窓口の必要性

企業内の不正行為が発覚し、気軽に相談できる信頼性のある同僚や上司が不在の場合、組織の風通しに問題が生じています。さらに、通報対象者からの報復の懸念があるため、社内の監査、人事などへの相談も難しい状況です。

こうした複雑な状況に立ち向かうために、「社外通報窓口」(ハラスメント相談窓口、循環取引など社内不正相談窓口)の設置が必要です。社外通報窓口は、組織内の従業員がいつでも安心して相談できる独立した窓口です。

外部に設置された相談窓口は中立的な立場から問題の解決を支援し、通報者を守ります。組織全体が不正行為の防止に向けて協力し、個々の従業員の意識改革を行うことが必要です。

法律や規制に合わせて不正行為の予防意識を高めるための努力が求められます。不正行為のない企業文化を築くことは、信頼性を高め、生産性を向上させる大きな成果をもたらします。

従業員が安心して働ける環境を確保するためには内部通報窓口を外部委託し、内部通報制度充実させることが不可欠です。組織の声を聴き、不正行為の予防と解決に向けて協力し、より健全な企業文化を作っていきましょう。

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◆日本公益通報サービス株式会社について

本社:   〒231-0023
      神奈川県横浜市中区山下町2番地 産業貿易センタービル9階

代表者:  代表取締役社長 小塚 直志

設立:   2023 年 3月

資本金:  1000万円

事業内容: 当社では、企業危機管理、働きやすい職場づくりなど、長期的な健康経営に取り組む事業者様をさまざまな形でサポートいたします。

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