コラム

男性が育休を取得しやすい職場にするために企業が取れる対策とは

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「男性が育休取って何するの?」という言葉を何気ない会話で耳にしたことがあるのではないでしょうか。
このような言葉が何気なく出てしまう日本の職場風土こそ、日本の育児休業取得率などが低い水準になってしまう理由に繋がっているのではないでしょうか。
ここでは育児・介護休業法男性の育児休業取得の課題について説明していきます。

2025/01/27 更新


厚生労働省の調査によると、令和5年度育児休休業取得率は女性84.1% 男性30.1%となりました。(令和3年度女性85.1% 男性13.97% 令和4年度女性80.2% 男性17.1%)

政府が「男性の育児参加を促進するための取り組み」を推進していることもあり、男性も育児をするという環境を、企業も支援していく社会情勢が少しずつ形成されつつあります。
そのため、日本の男性の育休取得率の推移は、徐々に上昇していますが、育児休業取得率は、まだまだ女性に比べて低く、諸外国と比較しても、低い水準になっています。
また、少子高齢化や共働き世帯の増加に伴い、男性の育児参加が社会的に求められるようになってきています。
企業としては、出産・育児による従業員の離職を防ぎ、女性のキャリア選択の幅を広げるという点でも、男性が継続的に子育てに関わることができるような環境の整備が求められています。



(参考:令和5年度雇用均等基本調査 https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/71-r05/06.pdf)
(参考:令和4年度雇用均等基本調査 https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/71-r04/07.pdf)
(参考:令和3年度雇用均等基本調査 https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/71-r03/07.pdf)

産後パパ育休(育児・介護休業法)について

現在、従業員の休業制度には、産休(産前産後休業)や育休(育児休業)と呼ばれるものがあります。産休(産前産後休業)や育休(育児休業)は、ともに出産や育児を行う従業員を支援するためのものですが、根拠となる法律や対象者などが異なります。
また、令和3年に育児・介護休業法(正式名称「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」)が改正され、新たに令和4年10月産後パパ育休(出生時育児休業)という制度も新設されました。この改正により男性も取得できる権利が明確化されたことで大きな注目を集めています。

産後パパ育休(出生時育児休業)とは、男性が子どもの出生日から8週間以内に、最長4週間(2回に分割可)で休むことができる制度です。また、育休中の就業も可能になるため、男性従業員の育休取得を後押しする効果が期待されています。労使協定を結ぶことによって育休中の就業が認められるため、男性従業員が育休を取得しやすくなります。

また、男性が育休を取得することで、女性が仕事を続けることができるようになり、男女共同参画社会の実現につながります。育休は、一定条件を満たしていれば申請することでき、男女問わず取得可能です。
1歳に満たない子どもを養育する従業員が、養育に専念することを目的としています。
従業員からの申出があった際、企業は必ず取得させなければいけません。

※引用:厚生労働省 育児・介護休業法の改正について https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001259367.pdf

また、夫婦が協力して育児に参加することを目的として「パパ・ママ育休プラス」という制度もあります。
両親がともに育休を取得する場合、育休を取得して一定の条件を満たすと子どもが原則1歳までの休業可能期間を1歳2ヶ月に達するまでに延長する制度です。

引用:厚生労働省 パパママ育休プラス https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/var/rev0/0146/0019/papamama.pdf

2025年4月1日より育休手当て(育児休業給付金)の給付率が引き上げられ、条件を満たすことで賃金の13%が上乗せされ、休業前の賃金の80%程度に引き上げる予定です。これは、手取りにすると約10割に該当する水準になります。

産後パパ育休(出生時育児休業)を取得した場合、条件を満たせば、育児休業給付金出生後休業支援給付金を受けることができます。

※子の出生直後の一定期間以内に、被保険者とその配偶者がそれぞれ14日以上の育児休業を取得した場合、被保険者の休業期間について28日間を限度に、従来の育児休業給付「休業開始時賃金の67%相当」に「休業開始時賃金の13%相当」を上乗せする制度

手取り約10割になる要件や期間

①夫婦で14日以上の育児休業取得が必要
②育児休業給付の上限最大28日間


※配偶者が専業主婦(夫)の場合、ひとり親の場合は、配偶者の育児休業取得がなくても給付率は引き上げられます。

引用:厚生労働省 出生後休業支援給付について https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/001293213.pdf#page=11


現在の育児休業給付は、育児休業開始から180日目までは賃金の67%、181日目からは賃金の50%が支給されます。しかし、育児休業給付には税金や社会保険料がかからないため、実質的な手取り収入は約8割となっています。

また、育児休業給付には上限があります。上限額は毎年変わりますが、令和6年は支給率67%の期間の上限額は約31万円です。
支給額が31万円になる月収は約46万円です。
月収が46万円を超えてくると、実際には10割にはならない方も。 
給付金はいくらになるか事前に確認し、計画的に家計運営をしておくと安心です。

男性の育児休業取得の課題

2024年7月31日に厚生労働省委託事業「男性の育児休業取得促進事業(イクメンプロジェクト)」において実施した「若年層における育児休業等取得に対する意識調査」(速報値)を公表した結果によると、男性の約3割が育児休業期間は「半年以上」を希望し、1年以上を希望する男性も16.0%と、長期間の育休取得の希望が高い結果となりました。
また、若年層の育休制度の認知度は「知っている」が92.4%、「取得意向」が87.7%と、ともに9割近い結果となりました。また、配偶者に育休を取得してほしい意向も88.6%と、若年層の育休を取得したい意向の強さが明らかになりました。しかし、男性の育休取得率は低く、取得期間も短いという現状です。

では、なぜ男性は、育休をとりたいと思っているのにとらないのでしょうか。

男性正社員が育児を目的とした休暇・休業を利用しなかった理由として、厚生労働省の「男性の育児休業取得促進等について」の資料によると、

①「会社で育児休業制度が整備されていなかったから」
②「収入を減らしたくなかったから」
③「職場が育児休業制度を取得しづらい雰囲気だったから」

が多くなっています。

また男性が「利用できる職場環境ではなかったと思った」理由は多い順に、「代替要員がいなかった」「職場の理解が低かった」「自分にしかできない業務を担っていた」でした。
以上のような調査結果から、男性の育児休業取得の課題として以下の問題があげられます。

①「職場風土の問題」
職場風土は、男性の育児休業(育休)の取得率向上に大きく影響します。
・男性同士で話し合いやすい環境がない
・上司や同僚から育児休業取得に対して否定的な言動を受けた
・人手不足で休むと上司や同僚に迷惑がかかる
・自分にしかできない仕事や担当がある
・業務が繁忙である
など育児休業等に関する制度を利用すること・利用を申請することがしにくい雰囲気がある職場は、心理的安全性の低い職場であると言わざるを得ません。組織の生産性を高めるためにも、安心して取得できる環境作りが不可欠です。

男性の育児に対する意識の問題
男性の育児休業取得率が低い背景には、『育児休暇は母親が取るもの』といった性別役割認識に基づく『無意識の偏見』(アンコンシャス・バイアス)が根強く、男性自身の意識に問題があることがまだまだ多いです。男性は、仕事を優先し、家族との時間を削る傾向があります。また、女性が家事育児をするものだという思い込みや甘えも、育児休業取得のハードルになっています。育児は男女関係なく担っていくという意識が大切です。

ラスメントの問題
これらの課題を解決するためには、男性自身の意識改革や、職場環境の整備、制度改革などが必要です。
育児休業という個人の事情を尊重し、組織全体で認め合い、受け入れるという姿勢が組織やチームに浸透すれば、育児休業以外でも「会社は自分の事情を認めてくれ、手を差し伸べてくれる」という従業員の意識へとつながり、組織としての強さを高めることができるのです。
組織全体で育休などを前向きに受け入れる雰囲気が広がればハラスメントが起きにくい環境へとつながることが期待できます。
男性も女性と同じように、子育てと仕事を両立することができる社会を実現するために、今後も積極的な取り組みが必要となります。

① 雇用する労働者に対する育児休業に係る研修の実施
② 育児休業に関する相談体制の整備
③ 雇用する労働者の育児休業取得事例の収集・提供(則第 71 条の2)
④ 雇用する労働者に対する育児休業に関する制度及び育児休業取得促進に関する方針の周知
※育児・介護休業法 雇用環境の整備の措置(第22条第1項)(則第 71 条の2)

育児・介護のために休むことを申告しても、上司がハラスメント言葉を言ったり、降格や異動、契約更新をしないなど不利益な扱いをすることは禁止されています。男性の産後パパ育休の取得についても同様です。

また企業には上司や同僚のハラスメントを防止する対策をすることがを義務付けられています。

参考:労働安全衛生法(第七十一条の二):https://www.jaish.gr.jp/anzen/hor/hombun/hor1-1/hor1-1-1-7_2-0.htm

ハラスメント言葉の例
「男のくせに育休をとるなんておかしい」
「育児休業なんて取ったら降格させるぞ」
「自分の時代は休まなかった、周りに迷惑だからやめた方がいい」


参考:パーソナル研究所男性育休に関する定量調査 https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/data/paternity-leave.html
参考:男性育休に関する定量調査 https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/assets/paternity-leave.pdf
参考:厚生労働省「若年層における育児休業等取得に対する意識調査」(速報値)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/shokuba_kosodate/jigyou_ryouritsu/topics/tp100618-1_00004.html
参考:厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/content/001282074.pdf

参考:厚生労働省 男性の育児休業取得促進等についてhttps://www.mhlw.go.jp/content/11901000/000676815.pdf

男性の育休取得率向上による企業のメリット

男性の育休取得は、当事者である社員個人やその家庭だけのものと思われがちですが、実は企業側にもメリットがあります。
①社員のエンゲージメント向上
②離職率低下
③企業のイメージアップ


男性の育休取得を促進することで、仕事と家庭の負担を適切に分散することができ、ストレスや疲労感を軽減し、従業員のメンタルヘルスを改善することが期待できます。取得した社員は、会社に対するエンゲージメント(愛着)やロイヤリティ(帰属意識や忠誠心)の向上につながり、職場への満足度や仕事に対するモチベーションが高まります。
従業員のエンゲージメントの向上は、生産性や労働環境の改善につながり、持続可能な成長を実現するために重要な要素となります。

男性育休の推進は、属人化していた業務の見直しのきっかけとなり、業務の標準化・効率化につながります。従業員同士が理解し合い、助け合う風土が醸成されることにより、職場の結束力も期待できます。

男性が育休から復帰した後も、従業員同士が柔軟に働き方を調整する姿勢が生まれることで、協力体制が継続的に進む可能性があります。
このような環境が整うことで、長期的に働きやすい職場と認識する若手社員も増え、離職率も下がり企業のイメージアップにつながります。

男性の育児休業取得促進に向けて企業が取り組むべきことは

男性が育児・介護休業を取得しやすい環境にするためには、以下のような対策が有効です。

育児・介護休業法について研修の実施
経営層が育休取得に対する意思を表明し、企業としての方針を明確に示すことが重要です。
経営層や管理職が、最新の法制度やハラスメントについてを正しく理解し、単に制度を整備するだけでなく、従業員がその制度を利用しやすい環境を提供することが重要となります。

上司や同僚の理解を深めるための研修や社内ガイドラインを整備することや、職場復帰に向けた研修やフォローアップの実施など、制度の実効性を高めた制度の整備が必要です。

②職場環境の改善
いざ男性が育休を取得したくても、業務が属人化している状態の業務が多いため、取得を妨げてしまう可能性があります。引継ぎにも時間がかかってしまうために取得を歓迎できない雰囲気になってしまうことも。
業務の属人化を解消するよう見直しを図り、育休を取得しやすい体制をつくることが重要です。

また、育休取得者を補える人員がいないという状況が、中小企業における育休取得推進の大きな課題になっています。不要な作業を洗い出し、業務フローを見直しをし、必要であれば人材派遣やアウトソーシングなど外注を活用する方法もあります。従業員が安心して育休を取得できる職場環境の改善に取り組む必要があります。

③相談窓口の設置
ハラスメントを受けた場合、被害者が報告しやすい環境を整備することが必要です。社内の窓口の場合、報復や噂が心配で相談ができないという場合もあります。社外の相談窓口を作り匿名で報告できるシステムを作ることで、秘匿性が高く、セカンドハラスメントの心配が少なくなるため、安心して相談をすることができます。

パワハラ防止法・改正公益通報者保護法対策の窓口整備はお任せください。

まとめ

育児・介護休業法について管理職を中心に学び、男性の育休について理解することが大切です。
従業員同志が理解し合い、安心して育休を取得できる職場環境にすることで、長期的に働きやすい職場のイメージが定着し、企業の生産性向上にも繋がります。

また、全ての従業員がどんな言葉が相手を傷つけるハラスメント言葉になるのか理解し守るように、社内教育制度を整えることが必要です。ハラスメントに関する規則を厳格に適用することで、組織内で防止することもできます。
 
子育てを取り巻く家庭環境も昔とは大きく変わっています。「子育ては女性だけがするもの」という価値観は昔のものになりつつあります。共働きの家庭も増え、親の介護もしなければならない家庭もあるでしょう。育児において男性に期待される役割はますます大きくなっています。
企業は、従業員の多様な家族のあり方に配慮して、従業員が仕事と子育てを両立できるような社内環境の整備が求められています。

社外通報窓口の必要性

社外通報窓口は、社内通報窓口に比べ、社内事情に左右されず、中立・公正な立場で対応することが可能となります。より秘匿性が高く、安心して相談できることから、従業員からの信頼も高めることが期待できます。

また、ハラスメントの被害者はとても傷つきセンシティブな精神状態になっています。上司や同僚に相談しても、後から加害者から報復を受けることを恐れて通報を躊躇してしまうことが考えられます。セクシャルハラスメントの被害者が女性の場合、男性の上司や社内窓口担当者へ話をすることを躊躇し泣き寝入りする可能性もあります。

こうした状況に対応するために女性が相談窓口担当の「社外通報窓口」の設置が必要です。社外通報窓口は、組織内の従業員がいつでも安心して相談できる独立した窓口です。外部に設置された相談窓口は中立的な立場から問題の解決を支援し通報者を守ります。

組織内ではハラスメントの予防意識を高めるためのコーポレートガバナンス(※1)を充実させる努力が求められます。ハラスメントのないリスクカルチャー(※2)を築くことが企業の信頼につながります。

従業員が安心して働ける環境を確保するためには内部通報窓口を外部委託し、内部通報制度を充実させることが不可欠です。些細なことでも従業員の声を聴き、ハラスメントの予防と解決に向けて協力し、より健全な職場環境を作っていきましょう。

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(※1)「コーポレートガバナンス」とは、企業が経営を適切に行い、株主や利害関係者の利益を守るための制度や仕組みのことを指します。

(※2)リスクカルチャーとは、組織や社会において、リスクに対する意識や態度、価値観のことを指します。


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本社:   〒231-0023
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代表者:  代表取締役社長 小塚 直志

設立:   2023 年 3月

資本金:  1000万円

事業内容: 当社では、企業危機管理、働きやすい職場づくりなど、長期的な健康経営に取り組む事業者様をさまざまな形でサポートいたします。

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