日本のトップブランドである大手自動車メーカーの傘下企業のひとつに不正が発覚しました。車の安全性を脅かし、ステークホルダー(※1)への信頼を大きく裏切る行為です。グループ企業内での違反は今回で複数となり、品質への信用と安全性を再び揺るがせることとなりました。不正を招いた原因のひとつに、コンプライアンス意識の欠如があったとされています。
創始者一族である大手自動車会社の会長は会見で、創業の原点を見失っていたと謝罪しています。失った信頼回復には時間がかかりそうです。
(※1)ステークホルダーとは、特定のプロジェクトや組織に影響を及ぼす可能性がある個人やグループのことを指します。これには顧客、従業員、株主、地域住民、取引先、政府機関などが含まれます。
どんな不正がおこった?
グループ企業の内、多くの不正が発覚した3社ではコンプライアンスに対する意識の欠如と管理体制のチェック機能が不十分だったと報告されています。先に違反が明るみに出ていた2社については、すでに国土交通省より是正命令が出されています。是正命令とは、2019年5月施行の改正道路運送車両法に新しく盛り込まれたもので、車の生産過程で不正を起こさないよう企業に体制の整備と再発防止を求めるものです。
今回新たに不正が発覚したのは、大手自動車メーカーのルーツとなったグループ企業です。一部のディーゼルエンジンの認証試験において燃料噴射量を調整し、見栄えのいいデータとして変更を加えていたというものです。さらに、フォークリフトや建設機械用エンジンにも排ガス試験データの改ざんが見られました。
なぜ信頼を揺るがせる事態になった?
2023年に前社長が会長に退き、企業では14年ぶりのトップ交代となりましたが、長年続いていた経営陣に忖度する組織風土があったのではないかと言われています。そのためグループ各社においては、物が言いづらい環境にあり不正が見過ごされてきた可能性がありました。
誤った価値観の共有が不正につながるのね・・・
不正認証をしていたグループ企業のひとつに、消費者庁は内部通報制度の見直しを行政指導していたことがわかりました。法律で定められた必要な措置の一部を適切に講じていなかったためだとしています。
このグループ企業では、事案に関与する者が調査に携わっていたケースや通報者への結果報告に十分な配慮がされていなかったなど、公益通報者保護法に基づいていませんでした。さらに、一連の不祥事が外部への告発により発覚した経緯があり、社内設置の内部通報窓口が機能していなかったことが指摘されました。
内部通報窓口が正しく運用されていれば、消費者の信頼を失う事態にならなかったのかもしれません。
コンプライアンスの意識が低いと、どうなる?

コンプライアンスとは企業の就業規則や社会的道徳を遵守することを示します。社会的信頼を獲得できる組織には、常にコンプライアンスを守る体制の整備が整えられています。
近年はSNSの普及により、企業の不祥事は瞬く間に拡散されます。コンプライアンスの意識が欠如している企業は、リスクに柔軟に対応することが難しく、多額な経済的損失を負う可能性があります。さらに、良好だった取引先との関係も維持できなくなるかもしれません。
内部通報窓口のシステムが機能していないケースにおいても、従業員のコンプライアンスに対する意識が低くなる傾向が見られます。
意識を高めるためには?
知識がないために、コンプライアンス違反は起こります。専門家によるセミナーを通じて社内教育を充実させるとともに、常に最新の情報に更新していくことが課題となります。さらに、不正が起こった場合のリスクの大きさを組織内で共有する取り組みも必要です。
想定されるリスクを認識して未然に防ぐリスクマネジメントも大切だね!
内部通報窓口を外部委託するメリット
組織内でコンプライアンスの意識を高め、今後の危機に備えるためには体制の整備を整える必要があります。そのためのひとつとして内部通報窓口の在り方を正しく理解し、運用させなければなりません。
通報窓口の設置には、公益通報制度の知識や対応経験の豊富な外部のスペシャリストに委託する方法もあります。外部委託の通報窓口なら体制の整備に難しいノウハウを得る必要もなく、短期間での設置が可能です。調査に関しては、企業からのコントロールや影響を受けることなく、匿名性と客観性も保たれます。
まとめ

失った信頼の回復と再発防止に向けては、法規を遵守する体制を再編し強化することが最優先の課題となります。
必要な知識や重要性についての認識不足からコンプライアンス違反は発生します。体制の再構築が企業としての原点を取り戻すきっかけとなり、ユーザーの安全性を最優先に考える組織としての再出発が望まれます。