消費者庁は就労者1万人を対象にした内部通報制度の調査結果を2024年2月に公開しました。調査は従業員が3人以上の企業や行政機関を対象とし、「従業員301人」以上では5割が内部通報制度について中身を理解していない、知らない、といった回答をしていることが分かりました。
2022年6月1日より公益通報者保護制度の改正法が施行され、従業員が301人を超える企業に対しては体制の整備が義務付けられました。300人以下の企業には努力義務となっています。これにより、通報者が不利益な扱いを受けることなく、安心して通報できるよう政府が普及を目指しています。
知っていますか?公益通報者保護法
「公益通報者保護法」は、労働者等が、公益のために通報を行ったことを 理由として解雇等の不利益な取扱いを受けることのないよう、どこへどのような内容の通報を行えば保護されるのかという制度的なルールを明確にするものです。
引用:消費者庁 公益通報ハンドブック(https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_partnerships/whisleblower_protection_system/overview/assets/overview_220705_0001.pdf)
公益通報をしたことが理由で労働者を解雇した場合、その解雇は無効となります。また、解雇以外の不利益な取扱い(降格、減給、退職金の不支給等) も禁止されます。事業者は、公益通報によって損害を受けたとしても、公益通報者に対して損害賠償を請求することはできません。
今回の消費者庁の調査によると約17%が後悔している、約13%が「よかった事もあれば、後悔しているしたこともある」と回答しており、中には「解雇」「嫌がらせ」「降格」など実際に不利益な扱いを受けてたことがあるという回答結果でした。
(参考:朝日新聞デジタルhttps://www.asahi.com/articles/ASS2Y64G0S2YUTFL005.html)
内部通報窓口は会社にありますか?
内部通報窓口(公益通報窓口)とは、企業内のハラスメントや内部不正行為の発見するために従業員等からの通報を受け付ける窓口のことです。コンプライアンス課など会社内部に通報窓口を設けるケース、会社外に通報窓口を委託するケースがあります。
社内に通報窓口を新たに設置する時に注意しなければならないことが、守秘義務です。通報を受けた人は内容を決して外へ漏らしてはならず、また、通報を受ける場所も他からの声が聞こえないように注意した場所を新たに設置する必要があります。
通報者の不安の中で、社内に通報窓口があったとしても声や話し方で自分だと判明したら困る、女性の担当者に話を聞いてほしいのに窓口は男性しかおらず打ち明けにくいなど、機能していない場合もあります。
こういった不安のために通報が遅れてしまうと、会社にとっても不利益な結果になってしまいます。
社外通報窓口を設置することによって公平な立場で聴取することが可能です。通報者も匿名性が保たれ安心して通報ができるため、問題の早期発見、対応が行えるためガバナンスの強化が可能になります。
まとめ
2024年2月の消費者庁の調査結果では、制度の認知度が半数以下であったことを受け、新井ゆたか長官は「普及がまだ道半ばの状況」と述べられました。来年度には有識者による検討会を設置し、制度のあり方などについて議論する予定とのことです。
2023年にはコンプライアンス問題で大きな問題になる企業が多数ありました。内部通報制度についての法整備がされ消費者庁も普及に力を入れています。
今後どの企業にも通報窓口があり不正やハラスメントがない健全な職場環境が整うといいですね。
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社外の通報窓口の必要性
企業内の不正行為を発見しても身近に相談できる上司や同僚がいなかったり、相談機関が機能していないとき、不正が見過ごされてしまいます。
ハラスメントの被害者はとても傷つきセンシティブな精神状態になっています。セクシャルハラスメントの被害者が女性の場合、男性の上司や社内窓口担当者へ話をすることを躊躇し泣き寝入りする可能性もあります。さらに、通報対象者からの報復の懸念があるため、上司、社内の監査、人事などへの相談も難しい状況です。
こうした複雑な状況に立ち向かうために、「社外通報窓口」(ハラスメント相談窓口、循環取引など社内不正相談窓口)の設置が必要です。社外通報窓口は、組織内の従業員がいつでも安心して相談できる独立した窓口です。
外部通報窓口でああれば、匿名性が保たれます。内部通報窓口で匿名を希望したとしても声や話し方で自分だとわかってしまうのではないかと不安に思う通報者も多数いらっしゃいます。
外部に設置された相談窓口は中立的な立場から問題の解決を支援し、通報者を守ります。組織全体が不正行為の防止に向けて協力し、個々の従業員の意識改革を行うことが必要です。
法律や規制に合わせて不正行為の予防意識を高めるための努力が求められます。不正行為のないリスクカルチャーを築くことは、信頼性を高め、生産性を向上させる大きな成果をもたらします。
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