会社の経費の悪用、業務上横領でよくある3大パターンは着服・横流し・キックバックです。不正行為は企業に影響を与えるだけでなくステークホルダー(※1)をはじめ業界全体の信用にも関わってきます。こういった横領の具体例と、企業に与える影響と予防策について簡単に説明します。
(※1)ステークホルダーとはビジネスやプロジェクトなどにおいて、その成果物に直接的・間接的に関係する人々や組織を指します。ステークホルダーには、顧客、パートナー企業、株主、社員、政府機関などが含まれます。
一番多い経費の着服
よくあるのが経費の着服です。接待費、交際費、出張費といった名目で経費を引き出して着服するパターンです。領収書を偽造し筆跡を変えたりしながら着服をします。一回の領収証は少額でも回数を重ねれば多額になっていきます。周りの従業員と比べ明らかに経費申請する回数が多かったり、少し高額だったりを繰り返している。急に羽振りが良くなり持ち物が突然高級ブランドに変化するだったりと不自然な様子に気が付き、ヒアリングをしてみると横領していたというケースがあります。

一番詳しい人が・・・
経費の着服は経理担当者や管理職が横領という場合があります。ある会社では会計事務所から派遣された経理担当者が犯人でした。毎月平均50万を引き出して着服しており、5年半で経費の着服総額は1億円を超える金額になったようです。この会社は日ごろから交際費や交通費として100万円単位で引き出すことも多く、通常の税理士の監査では気が付かれませんでした。この事件は税理士に会社の資産について相談し発覚しました。
まさかあの人が・・信頼していたのに・・・といった声が多くあります
横流しとキックバック
横流しは、会社にある切手や金券類、備品を盗み、売ってしまうことです。最近はネットで匿名のオークションサイトやフリマアプリも多いため横流しの品を簡単に売りさばくことができてしまいます。切手数枚、備品のペンひと箱でも、何度も回数を重ねれば多額になっていきます。モノの横流しはまず在庫管理で気づきますので、備品を使う際は数量を記名する、管理チェックを月1回にするなど頻度を多くした方が安全です。防犯カメラをつける対策や、切手や金券なども勝手に使用できない、目的を確認する、などのルールが必要です。
キックバックとは関係者が、特定の企業に契約を与える代わりに、不正に報酬を受け取ることです。例えばコンサル業など価格が比較しにくい業務でよく見られるパターンは、なかなか見つかりづらく判別が難しいケースもあります。
メーカー担当者と代理店の営業が手を組み、本来発注する数量を水増しして多い金額の見積もりを作らせ、増額分をそれぞれの懐に入れるパターンもあります。着服分を乗せているから、周りと比べてどう見つけるかという観点も大事ですが、定期的に担当者を変えるなど、「どう防ぐか」といった予防策が大事になってきます。売り上げを上げたくてやってしまう、または「断り切れなくて」ということもあります。立場が弱い側は仕方なくやっているケースもあるでしょう。しかし共犯には変わりありません。
内部不正がわかったらどうする?
内部不正が報告された場合、速やかに社内調査をする必要があります。取引履歴や請求書などの書類を確認します。不正の証拠は書類だけとは限りません。むしろ書類を残さず、メールで隠語を用いてやりとりをする場合もあるので、電子メールやチャット、通話履歴なども集める必要があります。社内調査をする際に気を付けなければならないことは、調査対象者に内密に行うことです。対象者に分かってしまうと証拠品が廃棄される恐れがあり、追及ができなくなる可能性があります。
また、社内調査は内部監査部門や、必要に応じて人事部門や経理部門とも連携して、多角的にデータを収集し、裏付けの証拠を押さえていくことも重要です。
不正対策を強化するには、管理者に対してリスクマネジメント研修、従業員にはコンプライアンス研修をおこない不正の未然防止に努めることが重要です。また、公認不正検査士(CFE)に依頼し不正疑惑が生じた場合に的確な調査を進められる体制・態勢を整えておく必要があります。
※公認不正検査士(CFE)とは:不正の防止・発見・抑止の専門家であることを示す国際的な資格であり、組織内外で発生する不正から組織を守るための取り組みにおいて専門性を発揮します。
社外通報窓口である日本公益通報サービス株式会社では内部不正の調査を承っており、公認不正検査士(CFE)による内部不正を調査する体制が整っております。不正調査の事実確認など迅速に調査することが可能です。
予防するにはどうしたらいいの
着服や横流しは企業利益損失だけでなく社会的な信用が失われます。メディアにとりあげられ誹謗中傷がおこったり最悪の場合企業の存続にもかかわる問題に発展します。
1,外部公益通報相談窓口の設置:社内相談窓口だと、匿名でもばれないか不安だったり、報復を恐れて相談することをためらってしまうケースがあります。また、ハラスメント(※2)やメンタルの相談するだけでなく内部不正の通報ができる外部公益通報相談窓口であればささいな不審点であっても匿名で通報することができ、通報者の安全を守ります。コーポレートガバナンス(※3)が整備されていない組織だった場合、内部相談窓口では相談しても蓋をされてもみ消されてしまう恐れがあります。そのためにも外部公益通報相談窓口の設置が必要となります。
2,健全なリスクカルチャーの構築:組織内でリスクマネジメント研修(※4)や、モラルについての研修を行い、不正が起こらないガバナンスフレームワーク(※5)を整えることが必要です。
3,不正検査士(CFE)と連携:公認不正検査士(CFE)は高い専門性を持つ経済犯罪対策の専門家で、通報があった不正を企業と共に解決していきます。不正検査士(CFE)と連携し不正疑惑が生じた場合に的確な調査を進められる体制・態勢を整えておく必要があります。
(※2)ハラスメントとは個人や集団が他者に対して行う嫌がらせや迷惑行為のことを指します。職場のハラスメントには主に、パワーハラスメント(パワハラ)、セクシュアルハラスメント(セクハラ)、 妊娠・出産に関するハラスメント(マタハラ)があり、3大ハラスメントとも呼ばれています。
(※3)コーポレートガバナンスとは、企業が経営を適切に行い、株主や利害関係者の利益を守るための制度や仕組みのことを指します。
(※4)リスクマネジメントとは、企業や組織が事業活動を行う上で、潜在的なリスクを特定し、評価・分析し、適切な対策を講じることによって、リスクを最小限に抑えることを目的とする経営手法のこと。
(※5)ガバナンスフレームワークとは、組織やプロジェクトにおける意思決定や管理のプロセスを定義し、透明性や責任、効率性を確保するための枠組みです。