【2024年7月22日更新】
パワーハラスメントは労働環境における深刻な問題であり、従業員の心身の健康や生産性に悪影響を及ぼします。パワーハラスメントの定義や影響、そして対策について詳しく説明します。また被害を受けられている方が問題を解決する手助けになればと思います。
パワーハラスメントの定義
厚生労働省では、法令に基づき3つの要素をすべて満たす言動を職場におけるパワーハラスメントの定義としています。
①職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であること。
②業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動であること。
③身体的もしくは精神的苦痛を与える、労働者の就業環境が害されるような言動であること。
※「労働者」は雇用形態は問いません。正社員だけでなく、パート・アルバイトなどのあらゆる雇用形態が対象となります。
被害者は、これらの行為によって屈辱感やストレスを感じ、自己評価や自尊心が損なわれます。
(参考:厚生労働省 パワーハラスメントの定義についてhttps://www.mhlw.go.jp/content/11909500/000366276.pdf)
具体的なパワーハラスメントの行為とは?(代表的な行為/6類型について)
職場におけるパワーハラスメントの状況は様々ですが、代表的な行為として以下の6つに分類されております。
①身体的な攻撃
②精神的な攻撃
③人間関係からの切り離し
④過大な要求
⑤過小な要求
⑥個の侵害
※6類型に当てはまる行為でもパワ―ハラスメントの3つの要素を満たさない場合は、パワ―ハラスメントに該当しません。
6類型とグレーゾーンの事例
ここでは、パワーハラスメントの6類型とグレーゾーンそれぞれの事例を簡単に紹介します。
①身体的な攻撃
・ミスをした部下を殴る。
・部下の椅子を蹴とばす。など
叩く、殴る、蹴る、胸ぐらをつかむ、物を投げつけるなど、身体に攻撃を与える行為
【グレーゾーン事例】
上司がミスしてしまった部下に対し、激励の意味で明るく「しっかり頑張れ!」と背中を叩いた。→部下が「暴力を振るわれた」と感じてしまうことも。
②精神的な攻撃
・「無能」「給料泥棒」「病気なんじゃない?」「バカなの?」など人格を否定するような言動。
・大きな声で威圧的な𠮟責を他の従業員がいる前で繰り返す。など
人格を傷つける発言をする、大声で罵倒して暴言を吐く、必要なく長時間にわたり叱責する、相手の失敗を嘲笑する、というように精神的に傷つける行為
【グレーゾーン事例】
上司がミスを繰り返す部下に対し、「しっかりしろ!」と語気を強めて言う。→業務上必要な範囲で注意・指導することは当然認められますが、精神的苦痛を覚えない程度の発言内容とするよう十分注意が必要。
③人間関係からの切り離し
・陰口を言ったり、悪い噂を流し特定の従業員を孤立させる。
・長時間一人だけ別室。
・挨拶されても無視する。など
職場や仕事仲間との関係において、特定の人物を排除する行為
【グレーゾーン事例】
会社の飲み会に中々参加せず、参加したとしても、つまらなさそうにしている部下に対し、「参加したくないだろう」「誘えば断りづらいだろう」などと思い、当該部下だけを会社の飲み会に誘わなくなった。→全員へ一度は声をかけるといった配慮が必要。
④過大な要求
・達成不可能なノルマを設定し、達成できないと厳しく叱責。
・業務とは関係のない私的な雑用をさせる。など
業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害する行為
【グレーゾーン事例】
上司が部下に対し、育成するために、その部下が現在行っている業務とは別に、高度な事務作業を行わせる。→部下にとって適正な業務内容や業務量を見極めることが必要。
⑤過小な要求
・特定の人にだけ仕事を与えない。
・業務上の合理性なく、当人が持つ能力や経験に見合わないような程度の低い仕事を命じ、不安にさせる。
わざと仕事を与えない行為、明らかに相手の能力や経験に見合わない仕事ばかりを与える行為など
【グレーゾーン事例】
経営上の理由からではあるものの、部下の「会社に貢献したい」という思いとは裏腹に、プロジェクトに参加させず、能力を発揮することができず、上司に対して不満が募った。→能力に見合わない簡易な業務に就かせる際には、その理由を上司が本人にきちんと説明することが肝要。
⑥個の侵害
・飲み会や行事への参加を強制する。
・有給休暇を取得する理由を細かく聞く。
プライベートの時間に私的な誘いに無理に付き合わせたり、個人的なことを詮索したり、本人の了解なく個人情報を暴露したりする 行為
【グレーゾーン事例】
個人的ではあるもののやむを得ない理由で休みを取る部下に対し、他の従業員の前で、改めて理由を説明させる(上司としては、周りの従業員の理解を得て、当該部下がこれからも休みを取りやすくするためという意図)→有給の利用目的についてどこまで詳しく聞くのかは難しく、あまりにもプライベートに踏み込むような聞き方をすれば、パワ―ハラスメントにあたるので注意が必要。
パワ―ハラスメントのグレーゾーンであるという明確な基準はなく、『パワーハラスメントかもしれないが、結果的に大きな問題にはならなかった。』というケースも相当数あります。企業としては、今後同様の行為が起きないように対策を講じる必要があります。
また、パワーハラスメントに該当するかどうかは、様々な状況によるもので、言動のみでは判断されず、総合的に考慮したうえで判断されます。
正しく認識することで、職場環境の改善により、組織のパフォーマンスの回復・従業員のモチベーション向上につながり、更には労働生産性の向上も期待できます。
(参考:パワハラのグレーゾーンはどこから?弁護士が事例で解説https://www.fukuoka-roumu.jp/harassment/grayzone/)
これらのパワーハラスメント行為が、どのような影響を及ぼすのでしょうか。
パワーハラスメントの影響
パワーハラスメントは、被害者の心身の健康に深刻な影響を及ぼします。以下に具体的な影響を3つあげます。
①心理的影響:パワーハラスメントによって、被害者は不安やうつ病、ストレスなどの心理的な問題を抱えることがあります。これにより仕事のモチベーションが下がり集中力が低下し、業績や生産性に悪影響を及ぼす可能性があります。
②身体的影響:長期間にわたるパワーハラスメントは、身体的な健康問題を引き起こすことがあります。頭痛、不眠、消化器官の問題などがありますが、体調不良による欠勤が増えるなど業務に支障をきたすだけでなく企業にとっても貴重な人材の損失につながる恐れがあります。
③キャリアへの影響:パワーハラスメントは被害者のキャリアにも深刻な影響を及ぼします。被害者は昇進のチャンスや機会を奪われ、能力や才能が適切に評価されない可能性があります。
パワーハラスメントは被害者の心身的被害だけでなく今後の社会生活にまで影響を及ぼします。これは企業にとっても大きな損失になります。
パワーハラスメントが企業に及ぼす影響
パワーハラスメントは、被害者の尊厳や人格を傷つける許されない行為であるとともに、被害者だけでなく周囲の従業員の職場環境をも悪化させるものです。企業にとっても、様々な悪影響を及ぼします。
ハラスメントを受けた被害者だけでなく、周りの従業員としても「次は自分も被害者になるかも・・」という不安を抱えながら勤務することは、良い職場環境とは言えません。また、精神的に不安定な状態の従業員が増えるとミスも増え、仕事の効率も低下するだけでなく、従業員のモチベーションも下がり、生産性の低下や離職者の増加により人手不足につながる可能性も。人手不足となれば、他の従業員の負担が増え過重労働のリスクが生じ、連鎖退職の危険性も高まります。最終的には、企業のイメージダウンにつながり、優秀な人材の獲得も困難となり、経営面でも大きな損失となる可能性もあります。
パワーハラスメントへの対策
パワーハラスメントへの対策は、個人と組織の両方によって行われるべきです。以下に対策のいくつかを紹介します。
①問題の認識:まずはパワーハラスメントの問題を認識し、関係者に対して啓発を行うことが重要です。外部から講師を呼びパワーハラスメントの対策研修などを通じて、パワーハラスメントの定義や影響、適切な方法について学ぶ機会を提供しましょう。
②ポリシーと手順の整備:組織は、パワーハラスメントに関する明確なポリシーと手順を策定し、従業員に周知徹底する必要があります。被害者が報告しやすい環境を作り適切な対応が行われるようにすることが重要です。
③外部相談窓口の設置:パワーハラスメントの被害者は、精神的にストレスを感じ大きな不安を抱えている可能性があります。プライバシーが守られ、安心して相談できる外部通報窓口(日本公益通報サービス株式会社)を組織が設置することによって被害者が安心して相談することができます。また、外部のパワーハラスメント相談窓口(日本公益通報サービス株式会社)が被害者の代理として組織に報告することができます。
4,ハラスメントを行った者への教育:パワーハラスメントを行う者に対しては、適切な処罰や教育プログラムを導入しましょう。ハラスメントを行った者にとっても、社内での信用の低下や懲戒処分や訴訟のリスクを抱えることにもなり、自分の居場所が失われる結果を招いてしまうかもしれません。また、組織内の権力構造や文化を見直し、パワーバランスの改善に取り組むことも重要です。
パワハラ防止法・改正公益通報者保護法対策の窓口整備はお任せください。
あなたは大丈夫?パワーハラスメントをしてしまっているかな?と思ったら
自分の経験・価値観や見聞きした情報から偏った見方で考えてしまい、それを押し付けてしまっていることはありませんか?無意識に決めつけ、それを押し付けてしまっていることも少なくはありません。「自分なりの解釈=常識」と考えていると無自覚でハラスメントを行ってしまう可能性もあります。
◎なぜその言動をしたのか?(言動の目的)
◎何度もミスを繰り返している?何度注意しても同じ行動しているなど(部下の問題行動の有無などの経緯)
◎業務上命に係わる業務等であったための言動であったのか?
◎適切な頻度や継続性であったのか?
◎部下の心身状況は?
◎部下との関係性は?コミュニケーションはとれていたのか?
言葉を発する前に、内容を吟味する慎重な姿勢が大切です。
役職が上位な人ほど、特に配慮を要します。
(参考:退職の寺子屋 パワハラのグレーゾーンは誰が決めているのか? https://ztmhiro.com/)
まとめ
パワーハラスメントは労働環境における深刻な問題です。被害者は人格や尊厳を傷つけられ、場合によっては休職や退職に追い込まれたり、生きる希望を失うことさえあるのです。従業員が思っていることを伝えられる仕組みを幾重にも準備することで、パワ―ハラスメントを含め、社員が抱えている問題に素早く気づくことができます。いかに事前の防止を図るかがとても重要です。
企業として従業員に問題の認識、ポリシーの整備、外部通報窓口(日本公益通報サービス株式会社)の設置、教育内容や処罰の取り決めなどを通じてパワーハラスメントに対応する必要があり、働きやすい環境の形成に努めることが肝要です。多様な価値観や働き方を認めるためにも、社内の業務改善や意識改善を多方面から働きかけていく必要があります。
また、私たち一人一人が、パワーハラスメントを正しく理解し、「自分事」として考え、健全で公正な労働環境を作りあげるために、貢献しようとする姿勢が大切です。
社外相談窓口の必要性
ハラスメントの被害者はとても傷つきセンシティブな精神状態になっています。上司や同僚に相談しても、後から加害者から報復を受けることを恐れて通報を躊躇してしまうことが考えられます。セクシャルハラスメントの被害者が女性の場合、男性の上司や社内窓口担当者へ話をすることを躊躇し泣き寝入りする可能性もあります。
こうした状況に対応するために女性が相談窓口担当の「社外通報窓口」の設置が必要です。社外通報窓口は、組織内の従業員がいつでも安心して相談できる独立した窓口です。外部に設置された相談窓口は中立的な立場から問題の解決を支援し通報者を守ります。
組織内ではハラスメントの予防意識を高めるためのコーポレートガバナンス(※1)を充実させる努力が求められます。ハラスメントのないリスクカルチャー(※2)を築くことが企業の信頼につながります。
従業員が安心して働ける環境を確保するためには内部通報窓口を外部委託し、内部通報制度を充実させることが不可欠です。些細なことでも従業員の声を聴き、ハラスメントの予防と解決に向けて協力し、より健全な職場環境を作っていきましょう。
日本公益通報サービス株式会社のハラスメント相談窓口(内部通報窓口)では、
傾聴スキルが豊富な女性スタッフが優しい心で対応致します。
日本公益通報サービス株式会社(略称:JWBS)では、業界最安値で企業のハラスメント相談窓口を代行します。社内のハラスメント対策に、弊社のハラスメント外部窓口代行を是非ご利用ください。
(※1)「コーポレートガバナンス」とは、企業が経営を適切に行い、株主や利害関係者の利益を守るための制度や仕組みのことを指します。
(※2)リスクカルチャーとは、組織や社会において、リスクに対する意識や態度、価値観のことを指します。
◆日本公益通報サービス株式会社(略称:JWBS)が企業のハラスメント相談窓口、循環取引などの内部通報窓口を代行し、従業員や顧客の声を集め、内部不正や整備の不備に対する真偽の確認と対策立案を支援するとともに、従業員の心と健康づくりを支援いたします。
令和2年6月「公益通報者保護法」が一部改正、「改正公益通報者」が一部改正され、令和4年6月1日から施行されました。法改正により従業員数300人を超える事業者には、内部通報に適切に対応するための必要な体制の整備が義務付けられます。具体的には、通報窓口の設置や通報者の不利益な取り扱いの禁止、通報者情報の保護などが求められます。しかしながら、社内でこれらの体制整備を実施することは、多大な負担となる場合がございます。そこで、日本公益通報サービス株式会社では、業界最安値で内部通報窓口サービスを提供いたします。
通報者が安心してご相談いただけるハラスメント相談窓口を代行させていただき、明るく働きやすい職場環境をつくるお手伝いを致します。
◆日本公益通報サービス株式会社について
本社: 〒231-0023
神奈川県横浜市中区山下町2番地 産業貿易センタービル9階
代表者: 代表取締役社長 小塚 直志
設立: 2023 年 3月
資本金: 1000万円
事業内容: 当社では、企業危機管理、働きやすい職場づくりなど、長期的な健康経営に取り組む事業者様をさまざまな形でサポートいたします。
■内部不正・ハラスメント・コンプライアンス外部相談窓口サービス
・専門家(弁護士、社会保険労務士、公認不正検査士、産業カウンセラー、心理カウンセラー)によるアドバイス
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企業サイト: https://jwbs.co.jp/