セクシャルハラスメントは、職場や社会における深刻な問題です。被害者は身体的・精神的な苦痛を受け、仕事への集中力や自尊心が損なわれる可能性があります。このコラムではセクシャルハラスメントについての理解を深め、被害者や関係者が適切な対処法を見つけるお手伝いになればと思います。
【2024年8月26日更新】
セクシャルハラスメントとは
セクシャルハラスメントとは、不適切な性的言動や行為によって、他者が嫌悪感や不快感を抱く状況を指します。これには、言葉の暴力、性的なジョークやコメント、過度の身体的接触、セクシャルな目で見られることなどが含まれます。被害者は、これらの行為によって屈辱や恐怖を感じ、職場の中で平等な機会を奪われる可能性があります。
職場におけるセクシャルハラスメントの定義
まずは、職場におけるセクシャルハラスメントの定義について説明します。男女雇用機会均等法によって以下のように定義されています。
・従業員の意に反する性的な言動が行われること
・従業員が性的な言動を拒否することにより、解雇や減給などの労働条件において不利益を受けること
・性的な言動により従業員の就業環境に見過ごすことのできない程度の支障が生じること
※「男性が加害者で、女性が被害者」と思われがちですが、女性から男性または同性同士でも該当します。
『職場』とは、仕事で行く必要のある顧客企業や出張先、業務の延長にある宴会、接待の場なども対象となります。
参考:厚生労働省職場におけるセクシャルハラスメントとはhttps://www.mhlw.go.jp/content/11909500/000366276.pdf
典型的な2類型(対価型・環境型)
職場におけるセクシャルハラスメントは大きく2種類に分けられます。
・対価型セクシャルハラスメント
・環境型セクシャルハラスメント
(参考:職場におけるセクシャルハラスメントとはhttps://www.mhlw.go.jp/content/11909500/000366276.pdf)
セクシャルハラスメントの判断基準とは?
「この行為をしたら、セクハラです!」という明確な基準はなく、様々な状況や被害を受けた方の主観を重視しつつも、一定の客観性をもって判断することがとても重要です。
・意に反する性的な言動があったかどうか。
・就業環境に悪影響を及ぼしているかどうか。
上記を念頭に置き、プライバシーを守った上で証拠をもとに事実確認を行い、丁寧に話し合いをする必要があります。
意に反する身体的接触によってとても強い精神的苦痛を感じる場合には、一回でも就業環境を害することもあります。また、明確に抗議しているにもかかわらず、対応してもらえず放置された状態が続いてしまうことにより、被害者は心身に重大な影響を受け、不信感、恐怖の念を深めながら不満を膨らませてしまいます。このような事を考慮し、迅速かつ適切に対応することが求められます。
また、男女の認識の違いが生じることを考慮する必要があり、被害を受けた方が女性である場合には「平均的な女性労働者の感じ方」を基準とし、被害を受けた方が男性である場合には「平均的な男性労働者の感じ方」を基準とし判断することが大切です。
(参考:厚生労働省セクシュアルハラスメント対策はあなたの義務ですhttps://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/00.pdf)
セクシャルハラスメントの背景になり得る⾔動について
「男らしい」「⼥らしい」など、固定的性別役割分担意識に基づいた⾔動は、セクシャルハラスメントの原因や背景になってしまう可能性があります。
固定的性別役割分担意識とは 「 男性は仕事、 女性は家事・ 育児・ 介護」 など性別を理由とした役割分担や、「男性らしく、女性らしく」といった固定的な考え方です。
・「男性だからこういった仕事が向いている」
・「男性は仕事、女性は家庭」
・「男のくせにだらしない」
・「家族を養うのは男の役⽬」
・「この仕事は⼥性には無理」
・「⼦どもが⼩さいうちは⺟親は⼦育てに専念すべき」
結婚、体型、容姿、服装などに関する発⾔ など。
このような固定観念は、個人の自由や選択を制限し、性別に基づく不平等を助長することがあります。現代では、性別に関係なく個人が自分の能力や興味に基づいて役割を選ぶことが重要とされています。
このような⾔動は、無意識のうちに表れてしまうので、⽇頃から⾃らの⾔動に注意するとともに、上司・管理職の⽴場の⽅は、部下の⾔動にも気を配り、セクシャルハラスメントの背景となり得る⾔動についても配慮することが⼤切です。
(参考:厚生労働省職場でのハラスメント防止についてhttps://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000474783.pdf)
セクシャルハラスメントの予防と意識改革
セクシャルハラスメントを根絶するためには、個人と組織の意識改革が不可欠です。
・「方針は決められているが、従業員に周知されていない」
・「相談窓口は設置したが、相談しづらい」など。
形式的に防止対策が講じられているが、適切に機能していないことが少なくはありません。
事案が生じた場合の対応方法があらかじめ定められておらず、実際にセクシュアルハラスメントが生じた場合に、放置したり、当事者間の解決に委ねる等、迅速かつ適切な対応がなされていないといった状況がみられます。
以下の点を意識することで、セクシャルハラスメントの予防に努めることができます。
【個人の意識改革】
人々はそれぞれ異なるバックグラウンドや価値観を持ち、セクシャルハラスメントに対する感受性や認識も様々です。軽いジョークや冗談を気にせず受け流す人もいれば、不快に感じる人もいます。また、文化や社会的背景によっても、認識や許容度が異なることがあります。このような個人の意識の差が、コミュニケーションの誤解や衝突を引き起こし、ハラスメントが発生する原因となることがあります。
「旦那がいるんだから、そんなに必死に働く必要はないだろう。」や、「女性にしておくにはもったいないな。」など、何気ない一言でもどのように感じるかは、受け手次第なのです。1度だけでは気にならない言動でも、何度も繰り返し、長い期間行われることで、「何気ない一言」が言われる側にとっては耐えがたい「ハラスメント」に変わることも。無意識でとった言動こそ、反復性・連続性を持ちやすいので、より注意が必要です。「反復性と連続性」が加わることで「深刻なハラスメント」となり得るのです。
「もしかして、これはセクハラ発言に当たるかも」と意識して発言することで、未然に防ぐことが期待できます。
【組織の意識改革】
教育とトレーニング
職場においてセクシャルハラスメントに関する教育プログラムやトレーニングを導入しましょう。従業員全員がセクシャルハラスメントの定義や影響について理解し、予防策を学び、従業員に対し確実に周知・啓発することが重要です。
オープンなコミュニケーション:組織内でオープンなコミュニケーションを促進しましょう。他人への理解が深まり、信頼関係を築くことが期待できます。信頼関係が築かれると、業務上のやりとりも円滑になることも期待でき、報告者が相談しやすい職場環境となります。従業員がセクシャルハラスメントに対して報告しやすい雰囲気を作ることが大切です。報告者のプライバシーを尊重し、適切な対応を行うことが求められます。
社外窓口の設置:社内の内部通報窓口へ相談しにくい環境だった場合、社外相談窓口があれば第三者機関(日本公益通報サービス株式会社)が通報者の保護をしながら解決へ向けて相談することができます。社外相談窓口を設置すること自体が、コンプライアンスを重視した働きやすい環境整備を行っている証しとなり、従業員の定着率や採用力向上も期待できます。通報者の声に基づき、環境を随時改善していくことも可能です。また、第三者機関(日本公益通報サービス株式会社)であれば匿名で通報することも可能なため従業員のプライバシーを尊重することができ、安心して相談しやすい環境が確保できます。
組織全体の意識改革と相談窓口の設置が必要となります。
セクシャルハラスメント行為をする人の特徴
セクシャルハラスメント行為をする人の共通点としては、以下の点があげられます。
・共感力が欠如している
・固定的な性別の役割分担を信じている
・権威主義的な考え方をする
・人の話をあまり聞かない
「これぐらいは大丈夫だろう。」と思っている方は、要注意です。『自分の常識≠他人の常識かもしれない。」と想定することで、未然に防ぐことが可能となります。相手に配慮した言動を心掛けることが重要です。
配慮した言動を心掛けることで、セクシュアルハラスメント加害者にならないよう自分自身を守ることにもなります。
パワハラ防止法・改正公益通報者保護法対策の窓口整備はお任せください。
セクシャルハラスメントの対処法
セクシャルハラスメントは上司が原因になっていることが多いため、被害者は「主張したことで不当な扱いをうけたらどうしよう。」と泣き寝入りしてしまうことが多いと言えます。部下は、相手が優越的地位であるために、声をあげたとしても自分の方が不利益を被るのではないかという懸念からひたすらに耐えてしまい、誰にも気づかれずにセクシャルハラスメント行為がエスカレートする、という悪循環が起こりやすいと考えられます。被害を受けないのが一番ですが、受けた場合の対処法を事前に知っておくことは大切です。そこで、セクハラの対処法をご説明いたします。
①拒否の姿勢を明確にする
②証拠を集める
③報告・相談する
④法的な手段の検討
①拒否の姿勢を明確にする
拒否の姿勢を明確にするだけで、自分がセクシャルハラスメント行為をしていると気づいていない人や本気で嫌がられていると思っていない人は、セクシャルハラスメント行為をやめる可能性があるからです。「機嫌を損ねては仕事がやりにくくなってしまうかも。」という理由から軽く拒否していると、「そこまで嫌がっていないのかな?」と思われることがあります。
「やめてください。上司に報告します。」と意思表示することが大切です。自覚せずにセクシャルハラスメント行為をしていた上司は改善する可能性があります。
②証拠を集める
拒絶の意思を明確にしてもセクシャルハラスメントをやめなかったり、故意にセクシャルハラスメント行為をしていると考えられる場合は、動画・録音・メールなど証拠を集めましょう。証拠があると、被害を訴えやすくなります。証拠がない状態では、まともに取り合ってもらえない可能性もあります。証拠を集めるのが難しい場合は、セクシャルハラスメントの状況や発言をメモとして記録しておくとよいでしょう。
③報告
セクシャルハラスメントを受けた場合、まずは信頼できる人に相談しましょう。上司、人事部門、労働組合など内部の通報窓口に報告するのがためらわれる場合、適切な外部相談窓口(日本公益通報サービス株式会社)に相談することが重要です。具体的な出来事や証拠をまとめて、外部相談窓口(日本公益通報サービス株式会社)へ相談し担当者が代行して社内へとつなぎ、適切な対応を求めることが大切です。
④法的な手段の検討
セクシャルハラスメントの解決が難しい場合、弁護士や地域の法的支援機関に相談することも検討しましょう。外部相談窓口(日本公益通報サービス株式会社)でも弁護士に相談することが可能ですので適用される法律や規制に基づき、適切な法的手段を検討することが重要です。
(参考:セクハラに正しく対処するために必要な4つの手続きhttps://reeed.jp/blog_individual/sexual-harassment/)
まとめ
セクシャルハラスメントは職場や社会における根深い問題です。被害者は心身に被害を受けるだけでなく、仕事へのモチベーションやキャリアにも悪影響を及ぼします。また、加害者にとっても、意としない方向へ事態が悪化してしまうということにもなり得ます。
①ハラスメントのリスクや問題が生じた際の迅速かつ適正な対処方法(事実確認・被害者に対する配慮の措置・加害者に対する処分)の周知
②未然に防ぐ姿勢(個人・組織の意識改革)
③再発防止策を講じる(社内研修・相談窓口の設置など)
様々な対策を行うことで、ハラスメントのない健全な職場環境にすることが可能となります。他者に対する共感力や理解力、想像力を意識的に持つ姿勢 が改めて求められています。常識・社会通念は時代によって変わります。より安全で公正な職場環境を築くために、セクシャルハラスメントに立ち向かいましょう。
社外通報窓口の必要性
ハラスメントの被害者はとても傷つきセンシティブな精神状態になっています。上司や同僚に相談しても、後から加害者から報復を受けることを恐れて通報を躊躇してしまうことが考えられます。セクシャルハラスメントの被害者が女性の場合、男性の上司や社内窓口担当者へ話をすることを躊躇し泣き寝入りする可能性もあります。
こうした状況に対応するために女性が相談窓口担当の「社外通報窓口」の設置が必要です。社外通報窓口は、組織内の従業員がいつでも安心して相談できる独立した窓口です。外部に設置された相談窓口は中立的な立場から問題の解決を支援し通報者を守ります。
組織内ではハラスメントの予防意識を高めるためのコーポレートガバナンス(※1)を充実させる努力が求められます。ハラスメントのないリスクカルチャー(※2)を築くことが企業の信頼につながります。
従業員が安心して働ける環境を確保するためには内部通報窓口を外部委託し、内部通報制度を充実させることが不可欠です。些細なことでも従業員の声を聴き、ハラスメントの予防と解決に向けて協力し、より健全な職場環境を作っていきましょう。
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(※1)「コーポレートガバナンス」とは、企業が経営を適切に行い、株主や利害関係者の利益を守るための制度や仕組みのことを指します。
(※2)リスクカルチャーとは、組織や社会において、リスクに対する意識や態度、価値観のことを指します。
◆日本公益通報サービス株式会社(略称:JWBS)が企業のハラスメント相談窓口、循環取引などの内部通報窓口を代行し、従業員や顧客の声を集め、内部不正や整備の不備に対する真偽の確認と対策立案を支援するとともに、従業員の心と健康づくりを支援いたします。
令和2年6月「公益通報者保護法」が一部改正、「改正公益通報者」が一部改正され、令和4年6月1日から施行されました。法改正により従業員数300人を超える事業者には、内部通報に適切に対応するための必要な体制の整備が義務付けられます。具体的には、通報窓口の設置や通報者の不利益な取り扱いの禁止、通報者情報の保護などが求められます。しかしながら、社内でこれらの体制整備を実施することは、多大な負担となる場合がございます。そこで、日本公益通報サービス株式会社では、業界最安値で内部通報窓口サービスを提供いたします。
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◆日本公益通報サービス株式会社について
本社: 〒231-0023
神奈川県横浜市中区山下町2番地 産業貿易センタービル9階
代表者: 代表取締役社長 小塚 直志
設立: 2023 年 3月
資本金: 1000万円
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