新型コロナ以降、外食売上高全体は緩やかに回復し、活気が戻ってきました。
しかしながら、テレワーク等の普及により生活にも変化があり、コロナ禍を経て忘年会等を開催しなくなった企業も一定数存在しており、宴会離れの傾向が一定程度うかがわれる居酒屋業態は、コロナ禍前水準まで戻り切らない状況になっています。
お酒の席が以前より減少傾向であるがゆえに、「久しぶりに楽しもう!」と羽目を外しやすく、親睦を深める交流の場である楽しい席も、ハラスメントが横行してしまう危険性があります。
ここでは、飲酒を伴う場面で行われる飲酒に関連した嫌がらせや迷惑行為=アルコールハラスメント(アルハラ)について解説します。
参考:内閣府 コロナ禍以降の外食消費の動向についてhttps://www5.cao.go.jp/keizai3/shihyo/2024/0802/1353.pd
(2025年6月9日更新)
アルコールハラスメント(アルハラ)とは?
アルハラは人権侵害
アルコールハラスメント(アルハラ)は、飲酒に関連した嫌がらせや迷惑行為であり、人権侵害に当たります。
日本では1980年代から1990年代にかけて、当時の人気テレビ番組などの影響もあり、一息に酒を飲み干す【イッキ飲み】が流行し多くの若者が急性アルコール中毒(※1)で命を落としました。集団であおり心理的な圧力をかけお酒を飲ませる行為は社会問題化されアルハラの危険性が注目されはじめました。
このように強制的にお酒を飲まなくてはいけない状況に追い込むこともアルハラですが、相手に不快な思いをさせたり傷つけたりする行為もアルハラに該当します。
アルコールを中心とする依存性薬物問題の発生、予防に取り組む特定非営利活動法人ASKでは次の5項目を主要なアルハラとして定め啓発活動をしています。

① 飲酒の強要
上下関係・部の伝統・集団によるはやしたて・罰ゲームなどといった形で心理的な圧力をかけ、飲まざるをえない状況に追い込むこと。
② イッキ飲ませ
場を盛り上げるために、イッキ飲みや早飲み競争などをさせること。「イッキ飲み」とは一息で飲み干すこと、早飲みも「イッキ」と同じ。
③ 意図的な酔いつぶし
酔いつぶすことを意図して、飲み会を行なうことで、傷害行為にもあたる。ひどいケースでは吐くための袋やバケツ、「つぶれ部屋」を用意していることもある。
④ 飲めない人への配慮を欠くこと
本人の体質や意向を無視して飲酒をすすめる、宴会に酒類以外の飲み物を用意しない、飲めないことをからかう、侮辱する、など。
⑤ 酔ったうえでの迷惑行為
酔ってからむこと、悪ふざけ、暴言・暴力、セクハラ、その他のひんしゅく行為。
引用:特定非営利活動法人ASK https://www.ask.or.jp/article/527
飲酒する際は、アルハラを未然に防ぐためにも自分自身が加害者にならないためにも、常に相手側の気持ちになって配慮していくことが大切です。

(※1)「急性アルコール中毒」とは、一度に大量のアルコールを摂取することによって引き起こされる状態で、重篤な身体的および精神的な症状を引き起こすことがあります。
アルハラを起こしやすい人、受けやすい人の特徴

アルハラを「起こす人」「受ける人」特徴は?
ここでは「アルハラを起こしやすい人」「受けやすい人」の特徴をそれぞれいくつかあげてみましょう。

【アルハラを起こしやすい人の特徴】
●「飲むこと=コミュニケーション」と考えている
相手の本音を聞き出すには、お酒を飲みながらコミュニケーションをとることが最も効果的だと考えている。
●自分自身がお酒に強く、他の人もお酒は楽しいものと勘違いしている
もともとお酒が美味しいと感じる人の中には、飲めない人でも経験を積めば美味しく飲めるように なると間違った知識を持っている。
●上下関係に厳しい
年功序列の考えがあり根性論を重視する。
【アルハラを受けやすい人の特徴】
●場の空気を常に読んでしまう
協調性を重んじる人は、自分のことより周りの人の気持ちを優先させてしまう傾向がある。
●上司との関係性を気にしてしまう
背景には上司との主従関係があり、今後の自分の立場が悪くなることを懸念して飲酒を断れない。
●いじられ役である
愛嬌があり親しみやすいキャラクターは、場の雰囲気づくりに担ぎ出され飲まされる。
【アルコールハラスメントによる死亡事例】
2017年12月近畿大学の学生がサークルの飲み会で「一気飲み」をさせられ、翌日急性アルコール中毒が原因で亡くなられるという痛ましい事故がありました。
違法な飲酒の強要はなかったようですが、学生宅に運び入れた学生についても「放置すれば死亡する危険があると認識できた」と認めているようで、2019年5月、関係した学生ら12名が保護責任者遺棄致死の疑いで書類送検されました。同年11月、学生ら9名が過失致死罪で略式起訴され、全員に罰金の略式命令が出されました。2020年、亡くなられた学生の両親が学生と大学を民事提訴。大学とは2023年3月、再発防止の徹底を条件に和解が成立。2024年1月、控訴していなかった4人を含めて5,090万円を支払う条件で和解が成立した。楽しいはずの飲み会での大惨事となってしまいました。
アルハラの加害者は、自分がハラスメントをしているという自覚を持ちにくいようで、後に騒ぎになって初めて気付かされる場合が多いのです。
ゼネラルリサーチ株式会社の「アルコールハラスメントに関する意識調査」によるとアルハラを受けたことがあると答えた人の割合が4割に対して、アルハラをしたことがあると答えたのは1割でした。また全体の6割が上司からすすめられると断れないと回答しています。
参考:特定非営利活動法人ASK 急性アルコール中毒等による大学生の死亡事例(2001~)https://www.ask.or.jp/article/10336
参考:https://general-research.co.jp/report05/
アルハラが与える企業への影響
アルハラの影響
一度アルハラ被害をうけた従業員は「またお酒を飲まされるのではないか」、「酔って絡まれるのではないか」といった心理的ダメージを負い、仕事のモチベーション低下につながります。
また、被害者以外の周りにいた従業員が「自分もあんな風に飲まされたらどうしよう」と考え、なんらかの精神的苦痛を負う可能性もあります。
アルハラは、従業員個人だけではなく企業のイメージダウンにもつながります。噂が広まれば、今まで良好だった関係の取引先から契約の見直しを求められるなど、何らかの影響が出てくるかもしれません。そうなれば企業全体の業績にもかかわってくることでしょう。
上記のような問題が常態化した職場環境では、心理的安全性(※2)が低下し、企業の売り上げに影響がでる可能性があります。新しい人材の確保や育成にも支障をきたし、今後の人手不足も懸念されます。

(※2)「心理的安全性」(psychological safety)とは、自分の意見や気持ちを安心して表現できる状態のこと
企業としての対応と対策
アルハラ 企業の取り組みは?
アルハラは、従業者の生命にかかわる可能性もあるので、組織全体で取り組むべき問題です。企業は日頃から従業者に対して周知する必要があり、適切な対応が求められます。
【企業としての対応】
- 正確な事実関係の確認、調査
- 被害者への身体的・精神的ダメージへの配慮
- 行為者に対するしかるべき措置
【企業がやるべき対策】
- 被害者が安心して相談できる相談窓口の設置(外部相談窓口の設置)
- ハラスメント研修の実施し、周知徹底を図る
- 再発防止策の検討と推進
企業として解決しようとする取り組みを示し、社会的責任を果たすためにも公正な判断のできる相談窓口の設置(※3)が急がれます。
また、アルハラを含めたハラスメントの予防のためにも就業規則や制度を整える必要があります。アルハラの意識は年代やジェンダー(※4)によっても違うものです。専門家による社内研修や情報提供の場を設けるなどして多様性の違いを認識してもらうことも対策のひとつです。
外部委託での相談窓口なら、情報が漏れないためのプライバシーの確保ができ、中立性も保たれます。また、通報したことで不利益を受ける心配もありません。ヒアリングスキルを持つ相談員の対応で通報者の安心につなげます。企業としても問題が複雑になる前に正確な事実確認ができるというメリットがあります。

制度を整えリスクコントロール(※5)しよう!
(※3)「相談窓口の設置」とは、組織や団体が利用者や関係者が問題や悩みを相談できる場所を設けることです。相談窓口では、相談者の話しを聴き、問題の改善に向けて適切な支援やアドバイスを提供します。
(※4)「ジェンダー」とは、社会的・文化的な役割や性別のあり方を指す概念です。生物学的な性別(男性・女性)とは異なり、ジェンダーは個人が自己認識し、表現する性のあり方を指します。
(※5)「リスクコントロール」とは、組織や個人が直面する潜在的なリスクを特定し、評価し、最小化または管理するための戦略や手法のことです。
パワハラ防止法・改正公益通報者保護法対策の窓口整備はお任せください。
社外通報窓口の必要性
企業内の不正行為を発見しても身近に相談できる上司や同僚がいなかったり、相談機関が機能していないとき、不正が見過ごされてしまいます。
内部不正だけでなく、ハラスメントの場合も然りです。ハラスメントの被害者はとても傷つきセンシティブな精神状態になっています。セクシャルハラスメントの被害者が女性の場合、男性の上司や社内窓口担当者へ話をすることを躊躇し泣き寝入りする可能性もあります。さらに、通報対象者からの報復の懸念があるため、上司、社内の監査、人事などへの相談も難しい状況です。
こうした複雑な状況に立ち向かうために、「社外通報窓口」(ハラスメント相談窓口、循環取引など社内不正相談窓口)の設置が必要です。社外通報窓口は、組織内の従業員がいつでも安心して相談できる独立した窓口です。
外部通報窓口であれば、匿名性が保たれます。内部通報窓口で匿名を希望したとしても声や話し方で自分だとわかってしまうのではないかと不安に思う通報者も多数いらっしゃいます。
外部に設置された相談窓口は中立的な立場から問題の解決を支援し、通報者を守ります。組織全体が不正行為の防止に向けて協力し、個々の従業員の意識改革を行うことが必要です。
法律や規制に合わせて不正行為の予防意識を高めるための努力が求められます。不正行為のないリスクカルチャーを築くことは、信頼性を高め、生産性を向上させる大きな成果をもたらします。
日本公益通報サービス株式会社のハラスメント相談窓口(内部通報窓口)では、
傾聴スキルが豊富な女性スタッフが優しい心で対応致します。

日本公益通報サービス株式会社(略称:JWBS)では業界最安値で企業のハラスメント相談窓口、循環取引などの内部通報窓口を代行します。社内のハラスメント対策に日本公益通報サービス株式会社の相談窓口をご利用ください。

下記より資料のダウンロードが可能でございます。
◆日本公益通報サービス株式会社(略称:JWBS)が企業のハラスメント相談窓口、内部通報窓口を代行し、従業員や顧客の声を集め、内部不正や整備の不備に対する真偽の確認と対策立案を支援するとともに、従業員の心と健康づくりを支援いたします。
令和2年6月「公益通報者保護法」が一部改正、「改正公益通報者」が一部改正され、令和4年6月1日から施行されました。法改正により従業員数300人を超える事業者には、内部通報に適切に対応するための必要な体制の整備が義務付けられます。具体的には、通報窓口の設置や通報者の不利益な取り扱いの禁止、通報者情報の保護などが求められます。しかしながら、社内でこれらの体制整備を実施することは、多大な負担となる場合がございます。そこで、日本公益通報サービス株式会社では、業界最安値で内部通報窓口サービスを提供いたします。
通報者が安心してご相談いただけるハラスメント相談窓口を代行させていただき、明るく働きやすい職場環境をつくるお手伝いを致します。
◆日本公益通報サービス株式会社について
本社: 〒231-0023
神奈川県横浜市中区山下町2番地 産業貿易センタービル9階
代表者: 代表取締役社長 小塚 直志
設立: 2023 年 3月
資本金: 1000万円
事業内容: 当社では、企業危機管理、働きやすい職場づくりなど、長期的な健康経営に取り組む事業者様をさまざまな形でサポートいたします。
■内部不正・ハラスメント・コンプライアンス外部相談窓口サービス
・専門家(弁護士、社会保険労務士、公認不正検査士、産業カウンセラー、心理カウンセラー)によるアドバイス
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■各種セミナー・説明会の実施サービス
・内部不正防止対策セミナー
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■適性診断・基礎能力診断サービス
貴社で活躍する従業員の傾向を詳細に分析
■カスハラ・クレーム代行窓口
カスハラのリスク管理や従業員対応など幅広く実施
■ハラスメント理解度チェックテスト
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企業サイト: https://jwbs.co.jp/
