福岡県の男子高校生が自ら命を絶つという非常に悲しい事件が報道されました。
背景には部活動と学生寮での凄惨ないじめがあったこと、男性顧問もいじめがあったことを把握していたにもかかわらず、生徒が亡くなるまで学校に報告をしていなかったことがあげられます。
亡くなった男子高校生の親族が顧問へいじめ被害について訴えても改善はされず、また学生寮の経営は顧問の親族が行っていたこともあり学校の部活動がかなり閉鎖的で特殊な環境下で行われていたことが、男子高校生を亡くなるまで追い詰める一因であったことが想像できます。
学校の対応と加害者の処分
亡くなられた男子高校生は部活動でのいじめや、男性顧問への不満の遺書を残して自殺されました。しかし、学校が設置した第三者機関では約3年の年月をかけて調査し10件のいじめ認定をしていますが、自殺の直接的な原因は特定できないと結論づけています。高校校長は会見で「学校として適切な対応ができなかった」と述べるにとどまりました。部活の顧問は厳重注意を受けた後、現在も顧問として指導しており、顧問親族経営の学生寮も継続されているとのことです。
なお、加害者とされる上級生は強制わいせつ罪で書類送検されており、2年間の保護観察処分をうけています。
(参考:RKBオンライン https://rkb.jp/contents/202402/202402200263/)

なぜここまで気が付かなかった?
今回の事件はいじめの内容が性的なものからSNSを利用するなど犯罪になるものが多く非常に凄惨でした。また、学校の中の『部活』『学生寮』というとても閉鎖的な空間で行われていたため、学校側が把握しにくかったという点があげられます。
男子生徒は性的な犯罪被害に遭っていたため本人が声を上げにくい、日常的にいじめられ声を上げるほどの心の力が失せ自尊心が欠如していた可能性があります。しかし、学校の誰もがこの生徒や顧問の様子に気が付かなかったのか疑問が残ります。
いじめ問題と職場内で行われるパワーハラスメントは似ており、上司と部下、先輩と後輩、顧問と生徒など明確な力関係からなり立っていることが多いです。そして、いじめやパワーハラスメントは被害者だけでなく周囲の人間も不快にさせ傷つける行為です。
特定の教師や顧問が生徒へ異常な指導をしている事実を知っていても、職場内のパワーバランスがあり声を上げにくい場合、外部の相談窓口があれば問題がここまで大きくならずに適切に対応できていた可能性があります。また外部通報窓口であれば匿名性が保たれ通報できるため通報者を守ることができます。
いじめ重大事件の第三者機関とは?
いじめ問題で重大事件があると学校側で第三者機関が設けられるのはよく耳にするのではないでしょうか。今回の事件でも第三者機関が約3年にわたる調査をし10件のいじめ認定をしました。この第三者機関との委員とは
”弁護士、精神科医、学識経験者、心理や福祉の専門家など専門知識及び経験を有するものであって、当該いじめ事案の関係者と直接の人間関係又は特別の利害県警を有しないものについて職能団体や大学、学界からの推薦などにより参加を図ることにより、当該調査の公平性・中立性を確保することが求められています。”
(引用:いじめの重大事態の調査に係る第三者委員会委員等の推薦依頼ガイドラインhttps://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/report/data/2018/opinion_180920_2.pdfhttps://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/report/data/2018/opinion_180920_2.pdf)
福岡の自ら命を絶った男子生徒は遺書にいじめがあったこと、顧問に対する不満の思いを記して亡くなっています。第三者委員会も顧問の不適切な指導にがあったことを認めています。
いじめ認定された内容は、他の部員の前で下着を下ろされるなどし、その動画を複数の生徒に送信。粘着テープを顔に巻かれ、その様子をSNSに投稿。肩を殴られたり、スポンジ製のバットでたたかれる。畳に粘着テープで貼り付けられる。など性的被害や暴行被害など大人だと刑事事件に該当する内容でした。
しかし、第三者機関はこれだけ酷いいじめと顧問からの不適切な指導があったにもかかわらず、遺書に両親に関しての記述もあったことから「多くの事情が相まって、衝動的に、現実逃避として自死を選択した」と結論づけています。学校側は第三者機関で顧問の不適切指導認定されているにもかかわらず「顧問の不適切な指導は確認できなかった」とし顧問は継続して学校で指導し続ける対応を取っています。
第三者機関は公平、中立でなければなりません。これだけの被害状況があるにもかかわらず自殺の直接的な原因ではないと結論付けているのは本当に中立と言えるのでしょうか。
この男子生徒がどんな思いでこの遺書を書いたか、少しでも生徒に寄り添う気持ちがあれば学校も第三者機関もこのような言葉や対応は出てこなでしょう。17歳の生徒を死を選ぶまで追い詰めるほど不適切な指導をした顧問を継続して指導に当たらせている学校は、命の重さを理解しているのか疑問が残ります。
この事件のニュースを見た全国の多くの子供を抱える保護者達は長い時間をかけて無念な結果を出す第三者機関を本当に公平、中立な立場だと信用できないのではないでしょうか。
学校や国が手を差し伸べる事ができなかった事を深く反省して二度と同じ事が起きない支援をする必要があります。
警察の介入
学校のいじめ問題で、今回のような暴行や性的暴行、SNSの拡散など刑事事件に該当の可能性がある問題が多数あります。学校側で暴力行為やわいせつ行為を把握していても警察へ連携する可能性は低いでしょう。学校は警察の介入を嫌がる傾向がありこれが隠蔽につながることになります。
学校と警察の連携はまだ難しい状況です。警察が介入してとしても学校現場がすぐに変わるとは限りません。しかし保護者が直接、警察へ被害届を出し受理された場合いじめが解決につながる可能性はあります。
いじめレスキューセンター
今回事件のあった福岡県では2023年11月からいじめレスキューセンターが開設され県内の公立私立の生徒や保護者を対象に相談を受け付ける取り組みを始めています。
相談を受けたあとは社会福祉士や弁護士が学校を訪問して今後の対応を協議した上で相談者に結果を報告するほか、3か月後をめどにフォローアップも行うことにしています。
こういった制度がもっと早く整備されていればこのような事件が起こらなかったと悔やまれます。
まとめ
今回の痛ましい事件は、調査をする第三者委員会、学校の対応がこれから注目されていくでしょう。
マスコミにも凄惨ないじめの内容と学校の対応が公表され連日メディアで流れており多くの人たちがこの事件に胸を痛めていることでしょう。
いじめ重大事件の第三者機関が公平中立な対応をし、学校がお亡くなりになった男子生徒とご遺族の気持ちに寄り添った対応をして、回答をしていただけることを願っています。