東京都でスクールカウンセラーの大量解雇が話題になっています。再任用限度を超えたカウンセラーが雇い止めされたとの見解もあり、教育現場では混乱が生じています。
3月5日に都内のスクールカウンセラーを組織する労働組合「心理職ユニオン」が会見を行い、この3月末で250人が雇い止めなどで一斉解雇されると明らかにしました。継続して働くことを希望した5人に1人が不採用通知を受取る事態となり、対象者のほとんどが経験豊富なベテランスタッフでした。
スクールカウンセラーとは? 学校でどんな仕事に従事している?
スクールカウンセラーは、「心の専門家」として学校現場に配置されています。臨床心理における専門的な知識や経験を活かし、児童生徒や保護者の抱える悩みを受け止める役目を務めます。
相談内容は不登校に関することが最も多く、いじめ・友人関係・親子関係・学習関係など多岐にわたっています。近年は、発達障害・精神疾患・リストカット等の多様な相談に応じる必要性も生じており、学校の教育相談体制に大きな役割を果たしています。さらに、自然災害や事件・事故等の被害にあった児童生徒に対する緊急時の心のケアや、いじめによる自殺の対応においても不可欠な存在となっています。
スクールカウンセラーの雇用形態は「会計年度任用職員」となり、その8割が臨床心理士です。高度で幅広い専門知識が必要とされるのが臨床心理士であり、心理職の専門家です。心に悩みを抱えている児童生徒・保護者に向き合い解決に導きます。
(参考:文部科学省 スクールカウンセラーについてhttps://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/066/gaiyou/attach/1369846.htm)
スクールカウンセラー雇用の仕組みとは?
スクールカウンセラーは非正規の公務員です。各自治体により異なりますが、年度ごとの契約が必要となっており、東京都の例では契約の更新が4回までと制限されています。この上限を超えては、再び公募での申し込みが必要となり面接が課されます。今回、契約更新の上限に達していたため面接試験に臨んだカウンセラーは1,096人で、不採用となったのは全体の2割にあたる250人でした。
この件に関して東京都教育委員会は、「新規で採用を目指す人との雇用の均等を図るためだ」と述べ、理解するよう求めています。しかし、総務省から出されている通達には「スクールカウンセラーの再任は、以前までの勤務実績を考慮しての選考は可能である」とされていることから混乱が生じました。なぜならば、不採用となった人の中には勤務評価が最高ランクのカウンセラーも多数含まれていたからです。今回の東京都のケースでは合否の目安が分からず、採用基準が不透明であったと言わざるを得ません。
不採用になったのは、10年以上の経験のある高年齢のカウンセラーに集中しているらしいとのことです。
不採用にするための圧迫面接が存在した?
東京都教育委員会では、現職のカウンセラー採用率は8割となっていることから、ベテランの現職を雇い止めする狙いはないと説明しています。しかし、実際の面接現場では何らかの意図があったようなパワハラまがいの対応をされ、選考に落とされたとの情報もありました。
不採用となったカウンセラーが記者会見で、「面接では不適切な質問が繰り返し行われた」と強く訴えています。合格となった他のカウンセラーと大きく質問の内容が異なっていたことから、解雇するための圧迫面接だったのではないかとの疑問が生じます。
圧迫面接とは、面接官が応募者に対して批判的な態度をとり、回答しづらい質問をするなどという面接です。常に高圧的な振る舞いをされるため、応募者はその場で萎縮してしまいます。精神的苦痛を伴う場合もあり「パワハラ面接」と呼ばれることもあります。
「心理職ユニオン」では、2021年に東京都公立学校スクールカウンセラー1,514名を対象に、勤務実態について郵送でのアンケートを行っています。702名の回答を得た中で、職場で理不尽な要求・不快な対応・ハラスメントなどを受けたと感じたことがあるかとの問いに、47%が「ある」と答えています。
さらに、ハラスメントを受けたことに対し「管理職に相談できなかった」との回答が76%にものぼりました。ためらった要因として「評価に悪い影響があるのではないか」「ハラスメントについて、管理職の問題意識が低い」「管理職によるパワハラのため」などがあげられ、教育に携わる現場のハラスメントに対する認識が低いことがうかがえました。
(参考:東京都スクールカウンセラー労働実態調査報告https://www.shinrishiunion.org/about-1)
外部委託での内部通報(相談)窓口設置のメリット
組織内に設置された内部通報窓口については、いくつかの問題点が指摘されています。そのひとつに、通報者とヒアリングを受ける側に面識が生じてしまい、プライバシー保護が難しくなるということです。実際に通報情報が漏れたため、逮捕者が出る事件にまで発展したケースもあります。
外部委託の内部通報(相談)窓口では、第三者機関として中立的な存在のため、通報しやすく情報が漏れない環境を提供しています。匿名性も確保され、通報者が不利益を被る心配もありません。さらに、公益通報とハラスメント対策の相談窓口も兼ねることが可能なため、不祥事などのリスク全般に備えた仕組みが整っています。
内部通報窓口は、組織から影響を受けることなく適切に設置し運営することで必要に応じた役割を果たすことができます。
外部委託なら、公益通報とハラスメントの両方に専門的な知識と人材を備えているから安心ね。
まとめ
東京都のスクールカウンセラー250人が、「雇い止め」にあうとして撤回を求めています。これほど一斉に解雇になるケースは初めてとのことです。
スクールカウンセラーには経験とスキルが大きく求められます。学校では、児童相談所や医療関係にも緊急に連携を要請しなければならない場面もあります。顔なじみのカウンセラーの不在が、来年度の子どもの心にどのように影響するのか懸念される事態です。
今回多数のベテランのカウンセラーが離職に追い込まれた背景には、若手を取り入れたい意図があった可能性もあります。しかし、いじめ問題や不登校など様々な問題が増加している学校でスクールカウンセラーは非常に重要な職業です。子どもたち、保護者にとってスクールカウンセラーを離職させるのではなく数が増えることが望まれるのではないでしょうか。
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社外通報窓口の必要性
企業内の不正行為を発見しても身近に相談できる上司や同僚がいなかったり、相談機関が機能していないとき、不正が見過ごされてしまいます。
内部不正だけでなく、ハラスメントの場合も然りです。ハラスメントの被害者はとても傷つきセンシティブな精神状態になっています。セクシャルハラスメントの被害者が女性の場合、男性の上司や社内窓口担当者へ話をすることを躊躇し泣き寝入りする可能性もあります。さらに、通報対象者からの報復の懸念があるため、上司、社内の監査、人事などへの相談も難しい状況です。
こうした複雑な状況に立ち向かうために、「社外通報窓口」(ハラスメント相談窓口、循環取引など社内不正相談窓口)の設置が必要です。社外通報窓口は、組織内の従業員がいつでも安心して相談できる独立した窓口です。
外部通報窓口であれば、匿名性が保たれます。内部通報窓口で匿名を希望したとしても声や話し方で自分だとわかってしまうのではないかと不安に思う通報者も多数いらっしゃいます。
外部に設置された相談窓口は中立的な立場から問題の解決を支援し、通報者を守ります。組織全体が不正行為の防止に向けて協力し、個々の従業員の意識改革を行うことが必要です。
法律や規制に合わせて不正行為の予防意識を高めるための努力が求められます。不正行為のないリスクカルチャーを築くことは、信頼性を高め、生産性を向上させる大きな成果をもたらします。
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