大阪府堺市の「幼保連携型認定こども園」で騒動が起こりました。問題が起きたのは0~5歳児クラスの園児約160人が在籍するこども園で、保育士のほとんどが4月末までに退職する意向を示しています。これにより、新年度からの運営の継続が困難となっており早期の解決が望まれますが、いったい内部ではどのような事態が起こっていたのでしょうか。
「幼保連携型認定こども園」とは?
「幼保連携型認定こども園」とは、教育と保育を一体的に行う施設のことです。幼稚園と保育園の両方の良さを併せ持っています。第164回国会において「就学前の子供に関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律」が成立し、2006年10月から施行されました。これが、認定こども園の始まりとなります。背景には、都市部を中心に保育園の待機児童が増えるいっぽう、幼稚園の利用が減少していたことがありました。
認定こども園には、幼保連携型・幼稚園型・保育所型・地方裁量型の4つの種類があります。そのうち「幼保連携型認定こども園」は、保育所的機能と幼稚園的機能の両方を併せ持つ単一の施設として、認定こども園の機能を果たします。幼稚園教諭と保育士の資格を併有する保育教諭と呼ばれる職員が配置され、子どもたちと過ごします。入園に際しては保護者が働いているか、いないかに関わらず就学前の子どもたちを受け入れています。
「幼保連携型認定こども園」には、学校と児童福祉施設の両方の役割があります。小学校以降の学習や生活の基礎となる幼児期の教育と、保護者が就労しているなど、保育が必要な子どもへの保育の両方を提供しています。
「幼保連携型認定こども園」では、園と小学校の円滑な接続を図るための様々な取り組みも工夫されています。
(参考:こども家庭庁https://www.cfa.go.jp/top)
堺市の幼保連携型認定こども園で何が起こった?
大阪府堺市にある幼保連携型認定こども園で、保育士12人のうち園長を含む10人が4月末までに退職の意向があることを示しました。園を運営する会長によるパワハラなどが理由とされ、このままでは子どもたちを受け入れる体制も整えられない状況だとのことです。 退職届を出した保育士のひとりは、以前から理事長の母親である会長と呼ばれる女性によるパワハラがあり、退職者が後を絶たない状況だったと語っています。慢性的な人手不足も続いていたことから、子どもたちの安全を守ることができないと人材の確保も求めていました。しかし、運営側が保育士の意見に耳を傾けることはなく、職場環境も改善されることはありませんでした。
園では3月に2回、保護者説明会を実施しています。この説明会で、会長が保育士のことを「コマ」と呼んでいたことや、「お前は黙っとけ、グズグズ言うな、金を出してるのは自分や」など、パワハラと思われる不適切な発言を日常的に繰り返していたことも分かりました。園では説明会の席で、会長の保育士に対する嫌がらせ行為をパワハラだと認めています。日常的に暴言を吐いていた会長に対し、保育士のひとりは「我々はコマではありません。感情のある人です。保育士です」と抱えていた思いを吐露しました。
この園では来月以降も120名余りの園児が継続して通うことになっており、新たな園児の受け入れも予定されていました。堺市では、園の運営が難しくなる可能性があるとの判断から、転園を希望する保護者のサポートをするなどの対応を行っています。子どもの転園を急遽迫られた保護者からは、不安でいっぱいだと落胆の様子がうかがえました。
(参考:産経新聞https://www.sankei.com/article/20240314-EAHMGQOCI5MHPFCB2QRUWCQZHM/)
保育士の離職率は高い?
厚生労働省の「保育士の現状と主な取組み」による令和2年の調査では、保育士の離職率は9.3%となっています。全体の離職率の平均は15%となっていることから、保育士の離職率が他の職種に比べ特に高くなっているということはありません。
しかし、保育士として登録をしていても働いていない潜在保育士は、資格保有者の半分以上を占めています。2、3年で辞めてしまったケースが最も多く、理由として「職場の人間関係」が上位にあげられています。現場の実態として、人手不足を理由に過重労働を要求されたり、運営側からのパワハラなど職場環境の悪化が原因とも考えられます。
保育士として復帰したいけど、過酷な現場の状況に、ためらっている人も大勢いるのね。
(参考:厚生労働省 保育所の現状と主な取組みhttps://www.mhlw.go.jp/content/11907000/000661531.pdf)
(参考:厚生労働省 令和4年雇用動向調査結果の概況https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/23-2/dl/gaikyou.pdf)
パワハラの相談窓口
パワハラとは、職場での優越的地位を前提として暴言・暴力、精神的にも攻撃を与える行為が該当します。それらによる離職を防ぐためにも、相談窓口の設置が必要となります。
パワハラは上司や運営側から行われるため、被害者には組織内で問題を公にすることに、ためらいが生じます。第三者機関の相談窓口なら、情報が外に漏れることがないため、被害者が不利益な扱いを受けることはありません。傾聴力に優れた相談員が、丁寧な聞き取りを行い、場合によっては早急に専門分野のスペシャリストとの連携を図ることも可能です。
企業側にとっても、外部に相談窓口を設置することで、早期発見・解決に繋がるためSNSなどで告発されるリスクを防げるというメリットがあります。さらに、外部委託の内部通報(相談)窓口では、パワハラを起こさない組織づくりのためにセミナーやハラスメントテスト等の様々な提案もいたします。
まとめ
今回のような子どもにまつわる事態は、決して珍しい出来事ではありません。日本全国さまざまな地域で保育士の大量退職が騒がれています。その背景には運営側からのパワハラなど根深い問題を含んでいます。未来を担う子どもたちのために、何を守らなければいけないのか、もう一度原点に戻る必要があるでしょう。
パワハラ防止法・改正公益通報者保護法対策の窓口整備はお任せください。
社外通報窓口の必要性
企業内の不正行為を発見しても身近に相談できる上司や同僚がいなかったり、相談機関が機能していないとき、不正が見過ごされてしまいます。
内部不正だけでなく、ハラスメントの場合も然りです。ハラスメントの被害者はとても傷つきセンシティブな精神状態になっています。セクシャルハラスメントの被害者が女性の場合、男性の上司や社内窓口担当者へ話をすることを躊躇し泣き寝入りする可能性もあります。さらに、通報対象者からの報復の懸念があるため、上司、社内の監査、人事などへの相談も難しい状況です。
こうした複雑な状況に立ち向かうために、「社外通報窓口」(ハラスメント相談窓口、循環取引など社内不正相談窓口)の設置が必要です。社外通報窓口は、組織内の従業員がいつでも安心して相談できる独立した窓口です。
外部通報窓口であれば、匿名性が保たれます。内部通報窓口で匿名を希望したとしても声や話し方で自分だとわかってしまうのではないかと不安に思う通報者も多数いらっしゃいます。
外部に設置された相談窓口は中立的な立場から問題の解決を支援し、通報者を守ります。組織全体が不正行為の防止に向けて協力し、個々の従業員の意識改革を行うことが必要です。
法律や規制に合わせて不正行為の予防意識を高めるための努力が求められます。不正行為のないリスクカルチャーを築くことは、信頼性を高め、生産性を向上させる大きな成果をもたらします。
日本公益通報サービス株式会社のハラスメント相談窓口(内部通報窓口)では、
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