コラム

「無意識の偏見と思い込み」が組織におよぼす影響とは? 「アンコンシャスバイアス」が注目されています!

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「アンコンシャスバイアス」という言葉をお聞きになったことはありますか?潜在意識の中にある無意識な思い込みや偏見などのことを表します。最近ではマスメディアでも頻繫に取り上げられるようになったことから、注目されている言葉です。今回のコラムでは、アンコンシャスバイアスが「思わぬハラスメントに繋がる可能性」と「組織に与える影響」についてお伝えします。

2010年に入り、アメリカの大手IT企業において従業員教育のために名付けられた言葉だと言われています。このIT企業では、人種や性別の構成比に偏りがあると指摘されたことをきっかけに、対応の一環として研修を行うことになりました。これがアンコンシャスバイアスへの解消に向けた取り組みの始まりであり、世界中に注目されるようになりました。日本でも多様な人材の活躍を目指したダイバーシティ(※1)の推進に伴い、アンコンシャスバイアスへの対応の必要性が高まりました。

アンコンシャスバイアスとは「無意識の偏見と思い込み」のことです。人の価値観は、環境からの影響を受け育まれるものです。周りからの意見や経験が元となり、自分自身では気がついていない歪んだ捉え方が発生することにより起こります。

「デートや食事のお金は男性が負担すべきだ」「女性は結婚によって、経済的に安定を得る方が良い」などの固定観念もアンコンシャスバイアスです。

(※1)ダイバーシティとは「多様性」。人種・性別・宗教・価値観などさまざまに異なる属性を持った人々が、組織や集団において共存している状態を示します。

内閣府の男女共同参画局では、令和4年に全国の20代~60代の男女10,906人に「性別による無意識の思い込み(アンコンシャスバイアス)」についてのアンケート調査を実施しました。これによると「アンコンシャスバイアス」という言葉の認知度は、21.4%に留まっており、あまり浸透していないことがうかがえました。

このアンケート調査では、「女性はこうあるものだ」「男性はこうすべきだ」などという性別に基づく決めつけなども浮き彫りとなっています。男性女性ともに「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と回答した割合の高い項目では、次のようになっています。

(参考:内閣府男女共同参画局 令和4年度 性別による無意識の思い込み
(アンコンシャス・バイアス)に関する調査研究https://www.gender.go.jp/research/kenkyu/pdf/seibetsu_r04/02.pdf)

また、職場シーンだけに着目してみても「組織のリーダーは男性の方が向いている」「受付、接客・応対(お茶出しなど)は女性の仕事だ」などが上位5項目に入っているという結果になりました。さらに、年齢層が高い男性ほど「女性はか弱い存在なので、守らなければならない」との傾向が強く、女性の役割の固定化に繋がる考え方のためジェンダー格差が生じます。このジェンダー格差も相手を傷つけたりストレスを与えるため、性別による無意識の思い込み(アンコンシャスバイアス)となります。

アンコンシャスバイアスは、数にすると200種類以上あると言われており、日常のあらゆる場面で起きています。解消に向けての取り組みには、組織を構成する従業員自らがアンコンシャスバイアスを認識することから始めなければなりません。ここでは、5つの例をあげて見てみましょう。

正常性バイアス

正常性バイアスとは、危機的な状態にあるにもかかわらず大丈夫だと信じてしまうことです。本来は心身の安定のために必要なバイアスですが、非常時にはマイナスに作用することがあります。「たまたま今月は業績が悪いのだろう」「これくらいはセクハラにならないだろう」などの自分の都合のよい思い込みをすることによって、目の前の問題を軽視してしまいます。リスクに対しての備えが遅れてしまうことにより、大きなトラブルや損失を招く恐れがあります。

ハロー効果

ひとつの特徴が目立つことによって、その人物を過大評価するなど誤った判断をしてしまいます。例えば、優れた学歴によって「あの人は仕事ができるに違いない」と思い込むことです。採用選考などにおいて、本質を見極められなくなる可能性が出てきます。イメージでの評価は、後に企業と採用された従業員との間にズレが生じることになります。過剰な評価は本人の精神的負担にもなり、それによる生産性の低下が企業の利益を損ないます。

近年では、学歴・性別・年齢・容姿などによるアンコンシャスバイアスが選考に影響しないよう、ブラインド採用を導入する企業が増えています。ブラインド採用とは、すべての個人情報を取り除き、応募者の能力のみを評価することによって採用を決定する方法です。

ステレオタイプバイアス

ジェンダーバイアスとも呼ばれるものです。性別・年齢・国籍などに対して先入観や偏った固定観念を持っていることを示します。「男性は仕事をして家庭を支えるべきだ」「家事・育児は女性がするものだ」「外国人は主張が強い」などが当てはまります。ステレオタイプバイアスが働くことによって、組織に必要な多様性が失われることになり、ダイバーシティが推進されません。これらは、従業員のモチベーション低下に繋がり企業の成長の妨げにもなります。

集団同調性バイアス

周りの言動に同調し、それらが正解だと思い込んでしまうことです。集団同調性バイアスが働くことにより、組織の団結力は高まりますが、画期的なアイディアが生まれにくい環境が生じます。さらに、集団的な同調圧力が強まることで異議が唱えられず、コンプライアンス違反やハラスメント発生時において問題が表面化しづらくなる傾向があります。

慈悲的性差別

相手に対して不要な配慮をすることです。良かれと思った判断でも、相手の成長のチャンスを奪うことになりかねません。さらに、女性は男性よりも劣る、との思わぬ差別に繋がることがあります。例えば、「子育て中の女性には負担が伴うので、大きなプロジェクトは任せないように配慮する」「小さいお子さんのお迎えがあるだろうから、早く退勤していいよ」などは、「子どものいる女性には責任感の伴う仕事は無理だ」と個人の能力を過小評価していることにも捉えられます。異性に対する好意的な配慮をしたつもりであっても、本人への確認がなければ慈悲的性差別となります。

(参考:男女共同参画局 性別による思い込みの解消に向けて https://www.gender.go.jp/research/kenkyu/movie.html)

セミナーでは、アンコンシャスバイアスが周りにどのような影響を及ぼすのか、認識を新たにすることから始めます。時代とともに価値観も変化していくものです。従業員一人ひとりが「無意識の偏見と思い込み」を自覚し、異なる価値観を受け入れる柔軟性を学びます。自分には見えていなかった「気づき」を意識することにより、適切な対応を身につけることができます。

外部委託の内部相談窓口では、アンコンシャスバイアスの具体的な事例をもとに、組織内に与える影響と、それによる差別やハラスメントを防ぐためのセミナーをご提案させていただいております。積極的なセミナー・研修の実施は、未来の適切な行動に結びつきます。さらに、従業員のコミュニケーションの活性化にも繋がる有効的な手段です。

日本でもダイバーシティの推進により、多様性を活かした柔軟な働き方ができる組織づくりが求められるようになりました。それに伴い、アンコンシャスバイアスの解消に向けた対応も必要不可欠となってきています。無意識な偏見や思い込みは、無意識な差別へと繋がります。公平な職場環境を整えるためにも、早急な意識改革に取り組みましょう。

パワハラ防止法・改正公益通報者保護法対策の窓口整備はお任せください。

企業内の不正行為を発見しても身近に相談できる上司や同僚がいなかったり、相談機関が機能していないとき、不正が見過ごされてしまいます。

内部不正だけでなく、ハラスメントの場合も然りです。ハラスメントの被害者はとても傷つきセンシティブな精神状態になっています。セクシャルハラスメントの被害者が女性の場合、男性の上司や社内窓口担当者へ話をすることを躊躇し泣き寝入りする可能性もあります。さらに、通報対象者からの報復の懸念があるため、上司、社内の監査、人事などへの相談も難しい状況です。

こうした複雑な状況に立ち向かうために、「社外通報窓口」(ハラスメント相談窓口、循環取引など社内不正相談窓口)の設置が必要です。社外通報窓口は、組織内の従業員がいつでも安心して相談できる独立した窓口です。

外部通報窓口であれば、匿名性が保たれます。内部通報窓口で匿名を希望したとしても声や話し方で自分だとわかってしまうのではないかと不安に思う通報者も多数いらっしゃいます。

外部に設置された相談窓口は中立的な立場から問題の解決を支援し、通報者を守ります。組織全体が不正行為の防止に向けて協力し、個々の従業員の意識改革を行うことが必要です。

法律や規制に合わせて不正行為の予防意識を高めるための努力が求められます。不正行為のないリスクカルチャーを築くことは、信頼性を高め、生産性を向上させる大きな成果をもたらします。

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      神奈川県横浜市中区山下町2番地 産業貿易センタービル9階

代表者:  代表取締役社長 小塚 直志

設立:   2023 年 3月

資本金:  1000万円

事業内容: 当社では、企業危機管理、働きやすい職場づくりなど、長期的な健康経営に取り組む事業者様をさまざまな形でサポートいたします。

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