消費者庁は、「公益通報者保護法」の見直しの議論を行っています。
通報者を解雇や懲戒処分にした場合には、事業者側に刑事罰を科すことが有識者検討会の報告書案に盛り込まれました。通報者への報復など不利益な取り扱いが疑われるケースが増えてきているためだとしています。また、事業者が企業内で公益通報を受付ける「内部通報窓口」が適切に機能していなかったことが多かったことも理由の一つとしてあげられています。さらに、刑事罰を導入することで通報者が速やかに通報できる環境を目指すことも目的とされています。
公益通報者保護法とは?
2022年6月1日に、改正公益通報者保護法が施行されました。それにより労働者が301人からの事業者には、通報窓口の設置など体制の整備が義務付けられ、企業の内部通報担当者には公益通報者の情報を漏らしてはならないなど守秘義務が生じます。公益通報者として保護される範囲も拡大されており、通報日前の1年以内の退職者、役員も含まれています。
公益通報を行った者は、不利益な扱いを受けないことが保証されています。
通報を理由とした通報者への解雇は無効です。さらに、通報を理由とした降格、減給、退職金の不支給、役員の報酬減額等などは禁止されています。不利益な配置転換・出向・転籍なども含まれます。また、事業者は公益通報により損害を受けたとして、通報者に対して損害賠償を請求することはできません。
実際に通報者が事業者より不利益な取り扱いを受けた場合、紛争解決制度(労働審判手続申し立て等)の利用で裁判所での解決を自ら図ることになっています。また、法令に違反して(内部規定も含む)通報者が公益通報するために通報対象事実を証明する資料などを持ち出した場合、公益通報したことを理由とした不利益な取り扱いは禁止されますが、法令や内部規定の違反を理由とした処分が妥当かどうかの判断は、事案ごとにされることになります。

(参考:消費者庁https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_partnerships/whisleblower_protection_system/overview/assets/overview_220705_0001.pdf)
見直しの検討が必要となった背景
公益通報者保護法では、公益通報を理由とする不利益な取り扱いを法律で禁止しています。しかし、会社の不正を通報した者に対して、事業者が報復人事を行ったのではなかと疑うべき事案は後を絶ちません。通報者が不利益な取り扱いを受けた場合、自ら裁判での救済を求めるとなると、大きなストレスと過大な負荷がかかります。このような昨今の情勢から、公益通報者に対し解雇や懲戒処分を行った場合、事業者に刑事罰を科することが検討されています。
すでにアメリカ、フランス、ドイツ、オーストラリア、韓国においては、法で保護される通報に対する報復行為については罰則が規定されています。
見直しの検討が必要になったもう一つの背景には、通報者の個人情報が漏れるなど、通報窓口が適切に機能していなかったという点があげられます。最近では、ある自治体において公益通報者保護法で禁じられている「通報者探索」が行われたのではないかと問題視されました。この自治体でも通報窓口における体制の不備があったと指摘されています。窓口の従事者は、知り得た情報に関して、期間の定めなく守秘義務が続きます。また、公益通報をしてきた人物が特定できる情報も守秘義務の対象となっています。
しかし、企業内部の通報窓口は総務部や人事部に設置されるケースが多く、通報者との間に面識が生じてしまったり、他の事項と照らし合わせることにより人物の特定がされてしまうといった事案が発生しています。
参考:消費者庁https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_partnerships/whisleblower_protection_system/overview/assets/overview_230320_0001.pdf
事業者側に刑事罰と立証責任の転換とは?
今回、消費者庁の検討会で議論されたのは、通報者に対して公益通報を理由とする不利益な取り扱いを行った場合、事業者に刑事罰を科するというものです。報復や隠蔽目的で違反すると組織および関与した個人も対象となります。

刑事罰の対象となる不利益な取り扱いとは解雇および懲戒処分に限られます。日本の企業の多くがメンバーシップ型の雇用を採用していることから、配置転換等は通報との因果関係を判断するのに難しいとの理由で今回は含まれていません。なお、罰則の程度等については、公益通報したことを理由に通報者を解雇や懲戒とした事業者には3000万円以下の罰金が科せられるとされています。改正案は、今後さらに検討され通常国会に提出される予定です。

立証責任の転換
現在の法律では、解雇や懲戒処分を受けた通報者が地位の回復を求めるには、その不利益な取り扱いが公益通報を理由とすることの立証を裁判において通報者自身が行い、解決しなければなりません。しかし、通報者にとって、それらを証明するには負担が大きく負いきれないケースも発生します。これも公益通報を躊躇する要因のひとつとされています。
このため、通報と処分との関係の立証を事業者側に転嫁し責任を負わせるとしています。報告者案では、公益通報を行った日から一年以内の解雇及び懲戒処分に限定されます。
これにより、企業の不正を発見した従業員が躊躇なく公益通報しやすい体制が整います。さらに、通報者への不利益な取り扱いも減少することが期待できるとされています。
刑事罰を科すことでのデメリットとは?

企業が準備しておくことは?
通報窓口がすでに社内に設置されている場合でも、第三者機関である外部の専門家に窓口を委託する方法が有効とされています。勤務先には通報しづらいが、外部なら敷居が低く通報しやすいというメリットがあります。また、第三者機関と通報者との間には面識がないため、匿名性とプライバシーが確保され、情報漏洩対策も細かく整えられています。
公益通報であるかどうかの判断は非常に難しいものです。
外部委託の通報窓口では、企業内の事情に左右されず、客観性があり公平性の高い判断が期待できます。誰かを陥れようとする悪意のある通報であっても中立な立場から検証し、専門家による公正な判断が可能となります。
また、事業者は通報窓口を正しく設けると同時に、セミナーや研修において公益通報者保護法についての従業員への周知と理解向上にも努めなければなりません。制度を正しく機能させることは、企業とそこで働く従業員を守ることにもつながります。

まとめ
消費者庁の有識者検討会は、公益通報者に対して通報したことを理由に解雇や懲戒処分にした場合、事業者側に刑事罰を科すことを報告書案に盛り込みました。
また、これまでは通報者側が民事裁判を通じて解雇や懲戒処分などの不当な扱いを受けたことを証明する必要がありましたが、通報と処分の関係を立証する責任も事業者側に負わせるとしています。これにより今後は、通報者への不当な扱いの減少が期待されます。
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社外通報窓口の必要性
企業内の不正行為を発見しても身近に相談できる上司や同僚がいなかったり、相談機関が機能していないとき、不正が見過ごされてしまいます。
内部不正だけでなく、ハラスメントの場合も然りです。ハラスメントの被害者はとても傷つきセンシティブな精神状態になっています。セクシャルハラスメントの被害者が女性の場合、男性の上司や社内窓口担当者へ話をすることを躊躇し泣き寝入りする可能性もあります。さらに、通報対象者からの報復の懸念があるため、上司、社内の監査、人事などへの相談も難しい状況です。
こうした複雑な状況に立ち向かうために、「社外通報窓口」(ハラスメント相談窓口、循環取引など社内不正相談窓口)の設置が必要です。社外通報窓口は、組織内の従業員がいつでも安心して相談できる独立した窓口です。
外部通報窓口であれば、匿名性が保たれます。内部通報窓口で匿名を希望したとしても声や話し方で自分だとわかってしまうのではないかと不安に思う通報者も多数いらっしゃいます。
外部に設置された相談窓口は中立的な立場から問題の解決を支援し、通報者を守ります。組織全体が不正行為の防止に向けて協力し、個々の従業員の意識改革を行うことが必要です。
法律や規制に合わせて不正行為の予防意識を高めるための努力が求められます。不正行為のないリスクカルチャーを築くことは、信頼性を高め、生産性を向上させる大きな成果をもたらします。
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下記より資料のダウンロードが可能でございます。
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令和2年6月「公益通報者保護法」が一部改正、「改正公益通報者」が一部改正され、令和4年6月1日から施行されました。法改正により従業員数300人を超える事業者には、内部通報に適切に対応するための必要な体制の整備が義務付けられます。具体的には、通報窓口の設置や通報者の不利益な取り扱いの禁止、通報者情報の保護などが求められます。しかしながら、社内でこれらの体制整備を実施することは、多大な負担となる場合がございます。そこで、日本公益通報サービス株式会社では、業界最安値で内部通報窓口サービスを提供いたします。
通報者が安心してご相談いただけるハラスメント相談窓口を代行させていただき、明るく働きやすい職場環境をつくるお手伝いを致します。
◆日本公益通報サービス株式会社について
本社: 〒231-0023
神奈川県横浜市中区山下町2番地 産業貿易センタービル9階
代表者: 代表取締役社長 小塚 直志
設立: 2023 年 3月
資本金: 1000万円
事業内容: 当社では、企業危機管理、働きやすい職場づくりなど、長期的な健康経営に取り組む事業者様をさまざまな形でサポートいたします。
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