循環取引とは、架空の売上を計上する不正会計の一種であり、複数の取引や取引所を組み合わせて行われる取引のことを指します。不正や価格操作の手段として悪用され、資産や商品を買い手と売り手の間で循環的に売買することで利益を得ることが目的です。
循環取引は、犯罪行為として問われる可能性が高いので、経営者やコンプライアンス担当者は、社内で違法な循環取引が行われることを防ぐ必要があります。
はじめに具体的に循環取引とはどのような取引となるのか、詳しくご案内致します。
循環取引の仕組み
循環取引とは、複数の企業が共謀して商品の転売や役務の提供を繰り返すことで、取引が存在するかのように偽装し、売上や利益を水増しする行為です。
例えば、A社、B社、C社の3社で循環取引を行ったとします。
→A社が10万円で仕入れた商品を、B社に15万円で架空販売
→B社が15万円で仕入れた商品を、C社に20万円で架空販売
→C社が20万円で仕入れた商品を、A社に25万円で架空販売
実際に売買はせずに、同様の取引を複数回繰り返し3社間で伝票のみを回す架空販売が行われます。
売上高の水増しや短期的な運転資金の増額を目的として、上記のような循環取引を行います。
■「売上高の水増し」とは、企業が実際よりも売上高を大きく見せるために行う不正な会計の手法で、実態以上の実績を作り出すことを指します。
■「短期的な運転資金の増額」とは、企業や組織が日常業務や事業運営のために必要とする資金を増やすことです。架空取引の売上代金は、手形(※1)を用います。手形を金融機関へ提出し割り引くことで、短期的な資金を入手することが可能となります。
(手形※1)支払いを確約するために発行される財務文書
循環取引に対する罰則
実態のない循環取引を行い、その結果を決済に反映させた場合は、開示書類の虚偽記載として
「証券取引法」や「金融商品取引法違反」の刑事責任が該当する可能性があります。
また、企業内で循環取引を行った担当者については「詐欺罪」や「業務上横領」、
「背任」「特別背任」、「私文書偽造」、「同行使の罪」などに問われる可能性もあります。
事例① 大手Mワイン会社の事件
2010年5月、某大手飲料関係の企業にて循環取引が行われていた事件があります。
日本国内のワイン市場において独占的な地位を築いていた企業でしたが、
実際には社内の水産飼料事業部にて数年前から循環取引を続けていたことが発覚しました。
取引先である養殖業者から支払いがなかっ たことで問い合わせをしたところ、業者側から当該売掛金は飼料の架空販売によるもので実在しない旨回答がなされました。
そこで企業側がこれまでの詳細を調査したところ、2008年から架空の飼料・原料を対象とする循環取引が続けられていたことが発覚しました。
事例② IT業界 5社による循環取引の疑い
2021年6月、某システム会社の元社員が中央官庁の管理業務を巡り、背任容疑で逮捕されました。同社は以前、IT業界5社による架空取引にも関わっており、取引の実態がないのに帳簿上は実在するように装う「循環取引」が実行されていた疑いがかけられています。NO社とNS社の間に他3社を挟む形で機器の取引が2巡する契約となっていました。TS社FS社MT社が介在していますが、実際に機器が取引された形跡は見つかっていないそうです。中でもTS社の架空取引による売上高は総額数億円規模と見込まれています。また、5社以外にも企業が循環取引に関与した可能性もあります。TS社の担当者は一連の取引が架空との認識はなかったと説明していますが、取引実態と異なる内容を記載した資料を提出しているなど、不審点も見つかっています。
(参考:朝日新聞 https://www.asahi.com/articles/ASN1R7JJ6N1RULFA01W.html)
事例③ 冷凍食品会社の事件
会社の経営方針が売上至上主義であったため、売上拡大のために行われていた循環取引の事例です。
事業部長からの指示で行われていたため、取引内容を疑うことなく事務的に処理されていました。
取引事例1
X社が、自社の資金繰りのためにK社との間にもう1社介在させたうえで取引を行い、さらに、X社は、K社の販売先より商品を買い戻して循環取引を行い、売上高を水増ししていました。
取引事例2
A社→K社→Y社を商流とする取引で、A社のK社に対する請求伝票には、同一商品、同一数量、同一金額が記載されており、かつ、Y社からA社に対し、対象商品を販売していたことから、循環取引を行っていたことが分かりました。Y社は、循環取引で得た資金を自社の資金繰りに充てていました。
以上のような取引事例に基づく売上債権は、個々には決済されており、循環取引とは認識されていませんでした。在庫においては、同一商品が循環していても、仕入計上口が新しくなるたびに、滞留在庫のチェック対象から外れるようになっており、循環取引を発見することができませんでした。
(参考:WIN Consulting http://www.winconsul.co.jp/hint/08.html)
まとめ~循環取引を防ぐための対策~
循環取引を防ぐために企業がすべき対策をご案内を致します。
■ 取引の権限を分散させる
特定の人物に任せることで、不正行為がしやすい環境になってしまうことが多くあります。
万が一不適切な行為が発生しても、担当を分散させることで問題を発覚しやすくなります。
■ 監視体制の強化と社内ルールの厳格化
循環取引を防止するためには、内部監査体制の強化も効果的です。
不正行為や不適切な取引が発生していないかを定期的に確認します。
また、取引を開始する前に、「取引の必要性」を確認し本当に会社にとって必要な取引であるのかどうかを調べます。その後、取引を行ったもの(商品)が相手に届いているのかを確認する。(万が一、商品もなく取引の実態がわからなければ、循環取引の可能性が考えられます。
■ 三様監査
内部不正を未然に防ぐために、三様監査と呼ばれる「会計監査人監査」、「監査役監査」、「内部監査」の3つの監査も重要です。
三様監査とは、3つの異なる監査機関がそれぞれ独立して同じ対象に対して監査を行うことを指します。
これらの監査方式を組み合わせることで、組織は総合的な監査効果を得ることができます。
不正発見だけでなく、企業の信頼性の向上や健全性の確保などを獲得する目的でもあり、企業にとって重要な取組といえるでしょう。
■ 内部通報窓口の設置
問題発覚時に誰でも通報できる窓口の設置が必要です。
また、ここで有効なのは外部の通報窓口を設置することです。
外部の相談窓口であれば、問題のもみ消しがなくなり、通報者の特定を防ぐことができます。
不信な部分に気が付いた時に誰かが通報することで
早期発見に繋がり問題を最小限に抑えることもできます。
社外通報窓口である日本公益通報サービス株式会社では内部不正の調査を承っており、公認不正検査士(CFE)による内部不正を調査する体制が整っております。不正調査の事実確認など迅速に調査することが可能です。
※公認不正検査士(CFE)とは:不正の防止・発見・抑止の専門家であることを示す国際的な資格であり、組織内外で発生する不正から組織を守るための取り組みにおいて専門性を発揮します。
パワハラ防止法・改正公益通報者保護法対策の窓口整備はお任せください。
社外通報窓口の必要性
企業内の不正行為を発見しても身近に相談できる上司や同僚がいなかったり、相談機関が機能していないとき、不正が見過ごされてしまいます。
ハラスメントの被害者はとても傷つきセンシティブな精神状態になっています。セクシャルハラスメントの被害者が女性の場合、男性の上司や社内窓口担当者へ話をすることを躊躇し泣き寝入りする可能性もあります。さらに、通報対象者からの報復の懸念があるため、上司、社内の監査、人事などへの相談も難しい状況です。
こうした複雑な状況に立ち向かうために、「社外通報窓口」(ハラスメント相談窓口、循環取引など社内不正相談窓口)の設置が必要です。社外通報窓口は、組織内の従業員がいつでも安心して相談できる独立した窓口です。
外部通報窓口でああれば、匿名性が保たれます。内部通報窓口で匿名を希望したとしても声や話し方で自分だとわかってしまうのではないかと不安に思う通報者も多数いらっしゃいます。
外部に設置された相談窓口は中立的な立場から問題の解決を支援し、通報者を守ります。組織全体が不正行為の防止に向けて協力し、個々の従業員の意識改革を行うことが必要です。
法律や規制に合わせて不正行為の予防意識を高めるための努力が求められます。不正行為のないリスクカルチャーを築くことは、信頼性を高め、生産性を向上させる大きな成果をもたらします。
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令和2年6月「公益通報者保護法」が一部改正、「改正公益通報者」が一部改正され、令和4年6月1日から施行されました。法改正により従業員数300人を超える事業者には、内部通報に適切に対応するための必要な体制の整備が義務付けられます。具体的には、通報窓口の設置や通報者の不利益な取り扱いの禁止、通報者情報の保護などが求められます。しかしながら、社内でこれらの体制整備を実施することは、多大な負担となる場合がございます。そこで、日本公益通報サービス株式会社では、業界最安値で内部通報窓口サービスを提供いたします。
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代表者: 代表取締役社長 小塚 直志
設立: 2023 年 3月
資本金: 1000万円
事業内容: 当社では、企業危機管理、働きやすい職場づくりなど、長期的な健康経営に取り組む事業者様をさまざまな形でサポートいたします。
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