コラム

公益通報者保護法成立の経緯と内部通報制度の意義 【JWBS ハラスメント相談窓口】

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2023年は大手芸能事務所や中古車販売業者、自動車会社など有名企業での不祥事が相次いで発覚し、内部通報制度の重要性を問われる事態となりました。また、不祥事が明るみになった企業は連日メディアで大きく取り上げられ、社会的信用を失う事態となりました。

2006年より施行され2022年に改正された公益通報者保護法(こうえきつうほうしゃほごほう)の周知と啓発、そして内部通報制度の事業者の体制整備が、さらに求められる社会状況となっています。

このような現状を踏まえ、公益通報者保護法が成立した経緯と内部通報制度の意義について改めてまとめました。 

公益通報者保護法は、公益通報を行った本人を保護する日本の法律です。

2004年6月18日に公布され、2006年4月1日より施行されました。

この法律が生まれた経緯は以下の通りです。

日本では2000年頃、食品偽装や自動車会社のリコール隠しなどの企業内不祥事が、企業の内部から外部への通報(内部告発)をきっかけに発覚し、相次いで大きなニュースとなりました。

また同時期に、トラック業界の闇カルテルを告発したトナミ運輸元社員(2006年退職)が、1974年に告発した際に名前が秘匿されなかった為、トナミ運輸より恨まれて32年間も昇給せずに閑職しか与えられなかった、という実例が訴訟となりました。

これにより、労働者が通報したことを理由に解雇されたり、不利益な扱いを受けないよう保護すること、そして、国民の生命・身体・財産に係る法令を順守することを目的に、2006年に公益通報者保護法が施行されました。

内部告発とは、組織内部の人間が、その組織が何らか悪いことをしていると知り、それを外部に通報することを指します。

英語では「whistleblowing」と訳され、危険に気づいた人が「笛を吹くこと」に由来しています。これは、危険を知らせる行為でもあり、大切なことですが、組織にとっては手放しで歓迎される行為ではない場合もあります。

特に、組織に忠誠を誓うイメージの強い日本の企業風土からは、「裏切り」「告げ口」といったマイナスイメージを持たれる場合もあります。

告発によって、悪いことを白日の下にさらして組織を浄化するよりも、関わった責任者は秘密を墓場まで持っていく、もしくは責任を一身に背負い自ら命を絶つ、といったことも実際に起こり得ます。

そしてもし告発に踏み切ったとしても、組織内で握りつぶされたり、報復をされるのでは?という不安を抱えることもあるでしょう。

ですが、ここで通報者の思いについて考えてみましょう。

組織に忠誠心があればあるほど、通報者のことを「会社を陥れようとしている」「不満分子」「会社の敵」と思いやすいかもしれません。

ですが、通報者に実際の思いを聞いてみると、会社を愛しているからこそ勇気を出して通報に踏み切るケースが大半だそうです。

通報者が会社を思い「目を覚ましてほしい」「より良い会社に変化してほしい」という思いを土台に、勇気を出して声を上げている、ということを理解しておくことは、とても重要です。

内部通報制度は、企業が自社のリスクを吸い上げて、自ら改善することを通して自浄作用を働かせ、コンプライアンス違反を未然に防いだり、社内の働く環境をより良く整備していくための制度です。

この制度は、企業が自ら主体的に取り組むことが重要になります。

内部通報は、企業内部の人間が外部に告発する「内部告発」に至る手前で、企業内の該当部署に通報することになりますが、この制度が有効に働けば、企業内の危機を未然に防ぐことができるだけでなく、通報はその企業が自らよりよい方向に変化し、発展していくチャンスともなります。

逆に、この制度が有効に機能していない場合は、企業内の危機を未然に防ぐことができず、事態が大きくなって内部告発に至り、最悪の場合は企業の存続の危機に陥るなど、大きなリスクにつながります。

内部通報制度の意義を改めてまとめると、以下のようなものがあります。

(1)早期発見と問題解決
従業員が異常な行動や不正を発見した際に、内部通報制度を利用することで早期に問題を発見し、迅速な対応が可能となります。

(2)コンプライアンスの強化
内部通報制度は法令遵守や倫理観念の強化につながります。従業員が安心して違反行為を報告できる環境が整うことで、企業のコンプライアンス意識が高まります。

(3)組織風土の形成
内部通報制度を導入することで、組織全体に透明性や信頼性が高まり、健全な組織風土の形成に寄与します。

(4)リスク軽減
内部通報制度によって、企業が直面するリスクを事前に軽減することが可能となります。問題を未然に防ぐことで、企業の信頼性や持続可能性が向上します。

(5)従業員エンゲージメントの向上
従業員が安心して意見や懸念を伝えることができる環境が整うことで、従業員エンゲージメント(※1)が向上し、組織全体のパフォーマンス向上につながります。

このように、内部通報制度は企業経営において重要な役割を果たし、健全な組織運営に貢献するものです。

しかしながら実際は、内部通報制度を導入している企業でも、制度自体が機能不全に陥っている場合も多くあり、事態が大きくなってから不祥事が発覚するという事例は後を絶ちません。

(※1)従業員エンゲージメントという用語は、従業員が会社や組織に対してどれだけ関与しているかを表すものです。従業員エンゲージメントは、従業員が仕事に対して熱心であり、会社の目標や価値観に共感し、自らの能力を最大限に活かそうとする姿勢を指します。

公益通報者保護法が施行されて以降も、事業者が公益通報に適切に対応しない事案や公益通報者の保護が十分に図られていない事案が生じました。

消費者庁は、2016年12月に「公益通報者保護法を踏まえた内部通報制度の整備・運用に関する民間事業者向けガイドライン」を発表し、その中で以下のように述べています。

“公益通報者保護法を踏まえ、事業者が実効性のある内部通報制度を整備・運用することは、組織の自浄作用の向上やコンプライアンス経営の推進に寄与し、消費者、取引先、従業員、株主・投資家、債権者、地域社会等を始めとするステークホルダーからの信頼獲得に資する等、企業価値の向上や事業者の持続的発展にもつながるものである。

引用元 https://www.cao.go.jp/consumer/history/05/kabusoshiki/koueki/doc/010_180223_sankou1.pdf


その後も、内部通報制度が機能せず大きな問題になった事例もあり、数々の議論を経て、公益通報者保護法の一部を改正する法案が2020年6月に可決・交付されました。

そして、事業者が公益通報への適切な対応を確保し、公益通報者の保護が図られるよう改正がなされた改正法が、2022年6月1日に施行されました。

改正のポイントは以下の通りです。

(1)内部公益通報に関する体制整備の義務付け
300人を超える事業者の場合は、新たに内部公益通報に関する体制整備を行うことが義務付けられました。(300人以下の事業者の場合、体制整備は努力義務とされています。)

(2)内部公益通報窓口担当者の守秘義務を新設
公益通報への対応に従事する者(=公益通報対応業務従事者)については、改正法により新たに守秘義務が明記されました。情報を漏らした場合、違反として30万円以下の罰金が科されることとなります。

(3)保護される公益通報の要件を緩和
公益通報として通報者が保護される要件が緩和され、原則は、どの通報機関に対しても、「一定の法令違反行為」がある通報が、公益通報者保護法の保護対象にとなり得るようになりました。

(4)退職者と役員を保護の対象に追加
従来の公益通報者保護法では、公益通報者として保護されるのは労働者に限られていましたが、改正により、新たに1年以内に退職した者と役員が、公益通報者として保護されるようになりました。

(5)過料にあたる違法行為も通報対象に
従来の公益通報者保護法では、公益通報の通報対象事実は、犯罪行為に関するものに限定されていましたが、改正法では、過料の理由とされている犯罪にはあたらない事実についても、新たに通報対象事実に含まれることとなりました。

公益通報者保護法は、2006年に成立した法律であり、これは企業や組織内で不正や違法行為を内部から通報する人々を保護することを目的としています。

この法律が制定された背景には、過去に内部告発者が不利益を被ったり、報復を受けたりするケースが多かったことがあります。

法律の制定後も実際に社会に実装していくにあたり様々な検討がなされ、企業内への内部通報制度の導入が重要視されるようになりました。

この法律の意義は、組織内での不正や違法行為を防止し、社会全体の公共の利益を守るために、内部からの通報を促進し、通報者を保護することにあります。

近年、企業においても持続可能性(サステナビリティ)が重要であると言われています。企業が長期にわたって存続していくためには、目先の業績だけでなく、企業活動が持続可能なものであることが重要です。内部通報制度の積極的な活用は、持続可能性(サステナビリティ)のための取組みのひとつでもあり、関係者からの信頼や評価を高めることにもつながります。

また、企業による「人権の尊重」も、持続可能性をめぐる課題のひとつであると言われています。内部通報制度の活用を通じて権利侵害の是正・救済をはかることは、人権の尊重という観点から持続可能性に貢献するものであるといえるのではないでしょうか。

企業や組織において内部通報制度が整備され、本来の目的を果たすべく機能することで、透明性や健全性が確保され、持続可能な社会の実現につながると言えるでしょう。

(参考:阿部・井窪・片山法律事務所 石嵜・山中総合法律事務所編「内部通報・内部告発対応 実務マニュアル[第2版]」株式会社民事法研究会発行 令和4年8月 )
(参考:森原憲司「内部通報制度調査担当者必携]」 株式会社経済法令研究会発行 2020年9月)
(参考:「内部通報窓口「超」実践ハンドブック 改訂版」 株式会社清文社発行 2016年12月) 

ここからは、公益通報の実際の流れと、効果的な窓口の設置について述べたいと思います。

内部不正を発見した場合やハラスメントを受けてお困りの時は公益通報相談窓口へ通報をし、担当部署は原因分析や指導など再発防止に向けて迅速に対応することが求められます。通報者は公益通報者保護法によって不当な取り扱いを受けないように守られます。

不正に気がついた際に、労働者の皆様がスムーズに相談・報告ができるように、企業内に通報窓口(外部通報窓口、ハラスメント相談・内部通報・公益通報窓口)を設け、通報処理の仕組みを整える必要があります。

企業内の不正行為を発見しても身近に相談できる上司や同僚がいなかったり、相談機関が機能していないとき、不正が見過ごされてしまいます。

ハラスメントの被害者はとても傷つきセンシティブな精神状態になっています。セクシャルハラスメントの被害者が女性の場合、男性の上司や社内窓口担当者へ話をすることを躊躇し泣き寝入りする可能性もあります。さらに、通報対象者からの報復の懸念があるため、上司、社内の監査、人事などへの相談も難しい状況です。

こうした複雑な状況に立ち向かうために、「社外通報窓口」(ハラスメント相談窓口、循環取引など社内不正相談窓口)の設置が有効です。社外通報窓口は、組織内の従業員がいつでも安心して相談できる独立した窓口です。

外部に設置された相談窓口は中立的な立場から問題の解決を支援し、通報者を守ります。組織全体が不正行為の防止に向けて協力し、個々の従業員の意識改革を行うことが必要です。

法律や規制に合わせて不正行為の予防意識を高めるための努力が求められます。不正行為のないリスクカルチャー(※2)を築くことは、信頼性を高め、生産性を向上させる大きな成果をもたらします。

(※2)リスクカルチャーとは、組織や企業内でのリスクに対する態度や価値観を指します。

社外通報窓口である日本公益通報サービス株式会社ではハラスメント相談だけでなく内部不正の調査も承っており、公認不正検査士(CFE)が内部不正を調査できる体制が整っております。従って、通報があった際は不正調査の事実確認など迅速に調査することが可能です。また、日本公益通報サービス株式会社では女性相談員のみのため、女性の気持ちに寄り添いご対応することが可能です。

公認不正検査士(CFEは高い専門性を持つ経済犯罪対策の専門家であるため、通報があった不正を企業と共に解決していきます。近年は不正の未然防止や再発防止の観点から監査を実施する重要性が益々高まってきます。 不正が大ごとになる前に、素早い初期対応と専門家による調査にで健全な企業環境を整えることが必須です。

パワハラ防止法・改正公益通報者保護法対策の窓口整備はお任せください。

日本公益通報サービス株式会社のハラスメント相談窓口(内部通報窓口)では、

傾聴スキルが豊富な女性スタッフが優しい心で対応致します。

日本公益通報サービス株式会社(略称:JWBS)では、業界最安値で企業のハラスメント相談窓口を代行します。社内のハラスメント対策に、弊社のハラスメント外部窓口代行を是非ご利用ください。

◆日本公益通報サービス株式会社(略称:JWBS)が企業のハラスメント相談窓口、循環取引などの内部通報窓口を代行し、従業員や顧客の声を集め、内部不正や整備の不備に対する真偽の確認と対策立案を支援するとともに、従業員の心と健康づくりを支援いたします。

令和2年6月「公益通報者保護法」が一部改正、「改正公益通報者」が一部改正され、令和4年6月1日から施行されました。法改正により従業員数300人を超える事業者には、内部通報に適切に対応するための必要な体制の整備が義務付けられます。具体的には、通報窓口の設置や通報者の不利益な取り扱いの禁止、通報者情報の保護などが求められます。しかしながら、社内でこれらの体制整備を実施することは、多大な負担となる場合がございます。そこで、日本公益通報サービス株式会社では、業界最安値で内部通報窓口サービスを提供いたします。

通報者が安心してご相談いただけるハラスメント相談窓口を代行させていただき、明るく働きやすい職場環境をつくるお手伝いを致します。

◆日本公益通報サービス株式会社について

本社:   〒231-0023
      神奈川県横浜市中区山下町2番地 産業貿易センタービル9階

代表者:  代表取締役社長 小塚 直志

設立:   2023 年 3月

資本金:  1000万円

事業内容: コンプライアンス違反(不正・ハラスメントを含む)の早期発見、
      リスクの迅速な検知・問題解決を目指します。

企業サイト: https://jwbs.co.jp/

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