コラム

町田市小6児童自殺 いじめ認定も「原因特定できず」調査報告書からの考察 【JWBS ハラスメント相談窓口】

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4年前の2020年11月、町田市の小学校に通っていた6年生の児童が同級生からいじめを受けたとされる遺書を残して自らの命を絶ちました。

事実関係や学校と教育委員会の対応などについて、1年後から調査を進めてきた市長付属の調査委員会が、このほど報告書を取りまとめ、2024年2月21日に内容が公表されました。

報告書によれば、亡くなった児童に対して友人関係の縁を切ると通告する「ドッキリ」があったことや、学校から配布されたタブレット端末でのトラブルがあったことが、いじめにあたると報告されています。一方、自殺との因果関係については、学校も一因としながら「原因は複合的で特定できない」と結論づけました。調査委員会の委員長(弁護士)は、「報告書は再発防止を目的として取りまとめた。調査検討を尽くしてきたが、原因は複合的で特定できなかった」と述べています。

教育委員会では、児童が亡くなった翌年の3月から重大事態として第三者委員会による事実関係の調査を始めましたが、ガイドラインにのっとった詳しい説明などが遺族側には伝えられていませんでした。このため、町田市は市長付属の新たな調査委員会での再調査を進めてきました。

新たな調査委員会での報告書において、友人関係を解消するといったドッキリや、「うざい」「死んでほしい」という同級生2人のチャットでのやり取りなどを、亡くなった児童に対するいじめであったと認定しました。ドッキリは少なくとも5、6回繰り返して行われていたとのことです。さらに、特定できない相手から悪口を書いたメモが机に入れられていた行為についても、正式にいじめであると認めています。

しかし、いじめと自殺との因果関係については、これらの嫌がらせ行為が直接の原因となったのではないとしています。報告書では、長い時間における人間関係のストレスが児童の心を弱らせた一因ではあるが、自殺の原因は複合的にあると述べています。つまり、いじめもひとつの原因だが、これのみが理由とは特定できないと断定したのです。

学校関連の遺族側への対応も不十分と言わざるを得ませんでした。いじめとの因果関係はなかったと繰り返し述べるにとどまり、校内でどのような出来事が起こっていたのかという説明はありませんでした。遺族は真実が明らかになることのみを切望していましたが、学校の管轄である町田市の回答は事務的なもので終わっています。遺族に寄り添った適切な対応や連絡がなく、調査にも支障をきたしたのではないかと指摘されています。

町田市では、2021年3月から第三者による有識者会議である「いじめ問題対策委員会」を設置し調査を始めていました。しかし、中立で公正な調査が約束されないとして、委員会を再編成するよう遺族側より要望が出されました。これにより、新たな「町田市いじめ問題調査委員会」が設けられ、2024年2月21日に再調査の結果を公表しています。この第三者委員会は、今回の重大事態に利害関係を持っていないことを条件に職能団体等の推薦を受けた5名で構成されています。

第三者委員会とは、いじめと自殺の原因・経緯などを調査するために独立した第三者により組織される委員会のことです。そのため関係者と利害関係のない者で構成され、客観性を担保できなければなりません。しかし、第三者委員会には警察のような強制捜査権はないとされています。それゆえに、委員会が遺族の心情に配慮し、調査結果が遺族側においても信頼のおけるものでなくてはなりません。

今回のいじめに認定されたひとつに、同級生2人によるチャットでのやり取りが含まれていました。これは「GIGAスクール構想」によって、一人に対して一台ずつ配分されたタブレット端末のチャット機能を使用したものでした。「GIGAスクール構想」とは、教育現場でのデジタル化を推進している文部科学省の取り組みで、2019年から始まっています。

タブレットを使用することで、児童の理解度に応じた個別の対応が可能となり、プログラミング教育にも貢献するというものです。

しかし、GIGAスクール構想での教育環境に対して、不安を感じていると訴えていた保護者は少なくはありませんでした。児童が通っていた小学校でもタブレットが先行導入されており、この端末のチャット機能により残酷な言葉が飛び交っていたのです。学校側が早くに端末の管理徹底を指示していたら、混乱を招くこともなく、チャット上での誹謗中傷も防ぐことができたのかもしれません。タブレット端末のリスクへの対応や、情報モラルの教育など課題は残されています。

いじめは周囲の目のつきにくいところで発生していることが多く、被害者である子ども自身も、その被害をまわりに訴えるだけの力が未熟であるケースがほとんどです。法務省では、いじめや体罰・こどもの人権侵害に特化した電話相談窓口を設置しています。親にも言えず、身近に相談できる大人がいない場合や、まわりで悩んでいる人を見かけたら連絡してほしいとしています。

相談は法務局職員または人権擁護委員が受付け、フリーダイヤルのため料金は無料です。秘密も厳守されます。電話以外にもメールやLINEでも受付け可能とのことです。

子どもの心は傷つきやすく、大人が思っている以上にセンシティブです。
相談窓口に連絡する手段もあることを周知させる必要があるでしょう。

参考:法務省 いじめなどの相談窓口(こどもの人権110番)

フランスの法律では、学校でのいじめが「犯罪」と規定されています。

去年、パリ郊外の中学校で14歳の少年が同級生にいじめをしたという罪で逮捕されました。授業中の逮捕で、他の生徒たちの見ている前での出来事でした。フランス政府の報道官は、いじめの加害者に強いメッセージを送るのが目的だと述べています。

フランスでは被害者が自殺や自殺未遂に至った場合は、加害者の年齢により禁錮10年以下の刑事罰が科せられます。また、いじめの加害者は強制的に他校に転校させることも可能となっています。

いじめが学校の問題ではなく人権にかかわる犯罪だと捉えているのがスウェーデンです。「いじめを受けないことは子どもの権利」として学校法という法律で守られています。休み時間には監視システムが導入されており、いじめの起きやすい死角を把握しています。

海外の多くでは、たとえ子どものいじめでも、いじめは犯罪だという認識がされています。

日本での加害者への対応は、子どもの学ぶ権利が優先的に保障されているため、教育的に指導し導くという方針が取られます。そのため、出席停止などの処分を受けることもほとんどありません。

「いじめ防止対策推進法」の成立から10年が過ぎた現在でも、深刻ないじめで命を絶つケースが後を絶ちません。「いじめ防止対策推進法」は、いじめの定義と学校の義務を定めたものです。しかし、より実効性のあるものにするためにもルールを厳格化しなければ、子どもの命を守ることはできないのではないでしょうか。

また、ネットでのいじめが増え、解決には専門的な知識が必要な状況になっています。今後は、法律の改正と警察との連携も視野に入れなければならない時期にきています。

今回の痛ましい事態は、報告書の公表でメディアにより再び大きく取り上げられています。お菓子作りが好きで、明るく元気で繊細な一面も持ち合わせていた児童は、どれだけの苦痛やストレスを感じていたことでしょう。

遺族は、学校でどのようなことが起こっていたのか事実が知りたいと望んでいます。そして、同じ思いをする被害者が二度と出ないことも願っています。今後も第三者委員会の在り方や、町田市と学校の対応が引き続き注目されることでしょう。

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社外通報窓口の必要性

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こうした複雑な状況に立ち向かうために、「社外通報窓口」(ハラスメント相談窓口、循環取引など社内不正相談窓口)の設置が必要です。社外通報窓口は、組織内の従業員がいつでも安心して相談できる独立した窓口です。

外部通報窓口であれば、匿名性が保たれます。内部通報窓口で匿名を希望したとしても声や話し方で自分だとわかってしまうのではないかと不安に思う通報者も多数いらっしゃいます。

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本社:   〒231-0023
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代表者:  代表取締役社長 小塚 直志

設立:   2023 年 3月

資本金:  1000万円

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