嗅覚は五感のひとつです。ニオイは目で見ることはできませんが、ニオイの分子は約40万種類あるといわれています。私たち人間はそのうちの1万種類ほどを嗅ぎ分けられるそうです。
ニオイで忘れていた記憶がふとよみがえったことはありませんか?ブルースト現象といって、ニオイは記憶と感情に密接に結びついています。それだけに一度不快に感じたニオイは大きなストレスとなってしまうのです。
スメルハラスメント(スメハラ)とは
スメルハラスメントとは“スメル”という言葉が意味するように、ニオイが原因でおこるハラスメントのことです。パワハラや他のハラスメントとちがい、ニオイの元である本人に自覚がないのが特徴です。しかし、まわりで仕事をしている人の中には、そのニオイがストレスとなり頭痛に悩まされたり、メンタル的にもダメージを受けてしまうことがあるのです。特に体臭や口臭が原因の場合、体質的なことへの指摘になってしまうことがあるため躊躇しがちです。
ニオイの事って言いにくい・・・
スメハラの具体例

ニオイの感じ方は十人十色です。
ある人には全くストレスを感じないニオイでも、ある人にとっては健康被害を受けるほど深刻な場合もあります。ここではスメハラの具体例を見てみましょう。
- 体臭・口臭
個人差はありますが誰でも持っているものです。体臭の原因は汗と皮脂ですが、その他にも生活習慣や食事、ストレスなどが絡みあい関与しているといわれています。また年齢を重ねることによって加齢臭とよばれる独特なニオイが引きおこされることもあります。
職場では会話の時に気になるのが口臭です。ひどい口臭の場合、歯周病をはじめ深刻な病気が潜んでいるケースもあります。
体臭と口臭はスメハラの代表的なものですが、相手の体質的なことへの指摘につながるため一番難しい問題といわれます。
- 柔軟剤
2000年に入って香りの強い外国産の柔軟剤がブームになったのをきっかけに、香りに特化した商品が次々と販売されました。最近ではマイクロカプセル処方という香りを長持ちさせるものが主流となっています。マイクロカプセルは衣類に付着して摩擦熱でカプセルが弾けて香りを放出します。柔軟剤にはたくさんの合成香料が含まれています。これらが原因で頭痛や吐き気などが誘発され、重症化すると化学物質過敏症になる恐れもあります。
- 香水
お気に入りの香水をつけると気分がポジティブになれるという人もいるでしょう。しかし、自分にとって好きな香りがまわりの人も同じように感じてくれているとは限りません。特に普段からつけているとその香りに慣れてしまい、つけすぎていることもあります。香水は天然の香料でつくられた物もありますが、約3000種類の合成香料の組み合わせによるものです。合成香料が原因で引き起こされるスメルハラスメントのことを“香害”ともいいます。
- タバコ
最近は喫煙所以外ではタバコを吸えないルールになっているオフィスがほとんどになりました。しかし、タバコを吸った後の衣服や髪に付着したニオイはすぐに消えるわけではありません。タバコ臭はアンモニアなど複数の有害成分が混ざり合ってあの独特のニオイになります。特に非喫煙者にとっては不快に感じてしまいます。
スメハラの企業における問題点
人間は不快なニオイを感じるとまず集中力を失います。
個人のパフォーマンス能力が低下すると、グループ全体の生産性も低下すると予測されます。スメハラも組織全体の問題として取り組むことが重要です。
ニオイって目に見えないストレスなんだね。
スメハラの対処方法

職場でのスメハラ問題が指摘されたら、どのように対処すればよいのでしょうか。
ニオイの基準に境界線を引くことは非常に困難です。スメハラは意図せずに自分が加害者になっていることがほとんどのため、間違えた対応をするとモラハラや人権侵害になりかねません。そのため個人に向けての指導をおこなうよりも、スメハラに関する内容を取り入れたビジネスマナー研修を定期的に実施して関心と理解を促すようにしましょう。また、就業規則にアピアランスチェック(身だしなみチェック)を盛り込むなども効果が期待できます。
スメハラって明確な定義がないから問題が複雑化することがあるんだね。
まとめ
スメハラはセンシティブな問題を含むため、まわりに相談しづらいものです。気持ちが限界をむかえる前に助けを求められるよう、相談窓口について周知させることも企業としては大切なことです。
外部委託での相談窓口なら、スメハラのようなデリケートな問題でも情報が外へ漏れる心配はありません。また、通報した相談者が不利益になることもありません。なによりも中立性が保たれプライバシーの確保ができるという強みもあります。企業としても難しい対応をせまられる前に正確な事実確認ができるというメリットがあります。
職場などたくさんの人が集まる環境においてはニオイの感じ方はそれぞれ違います。自分のニオイが原因で、誰かが不快に感じていたり体調不良をおこしているかもしれません。ニオイも社会人としてのマナーとして意識するようにしましょう。