中古車販売会社が、事故車の修理に伴って違法な手段で保険金を水増し請求し、過大に保険金を受け取っていたことが連日、大きなニュースになっています。
同社の従業員が、意図的に車両に傷をつけて損傷範囲を広げ、損害保険会社に修理費を水増し請求していたことが明らかになり、社長の辞任や、関係省庁が聴取に乗りだすなどの事態に発展して経営の危機に陥る。例えば銀行借り入れもストップに発展します。
今回の事件では、経営陣が不正に関する内部通報を受けながらも、放置していた疑いがあることも分かってきました。
これによって、全くコーポレートガバナンスの問題であり内部統制の欠如の結果であります。
消費者庁は、同社が内部通報体制を整備していなかったとして、公益通報者保護法に基づく報告を求めています。
2022年6月に改正された公益通報者保護法では、従業員301人以上の企業は内部の公益通報体制を構築することが義務付けられております。
この公益通報者保護法に基づく事業者への報告要請は初めてのことですが、倒産危機に陥った今回の事件によって、この中古車販売会社内では、ガバナンス(公正な判断・運営がなされるよう、監視・統制する仕組み)が機能せず、コンプライアンス(法令順守)意識も欠如していたことが浮き彫りとなりました。
※パワハラ(パワーハラスメント)とは「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」という定義をしています。(詳細は下記コラムにて記載)
※パワハラ相談窓口(パワーハラスメント相談窓口)
パワハラ防止法で設置義務として定められている、企業の従業員からの「パワハラ(パワーハラスメント)、その他ハラスメント」の相談に対応をするための窓口です。公益通報者保護法は、2022年に改正され、常時雇用する労働者が301人以上の事業者に対し、公益通報に対応する窓口の設置や規定の策定などを義務付けています。公益通報者保護法では、必要な場合は事業者に報告を求め、義務に違反していれば指導や勧告の対象となります。従わない場合は事業者名などを公表することができます。
報告を怠ったり虚偽の報告をしたりした場合は20万円以下の過料が科されます。
今回は、中古車販売会社の不祥事からみる内部通報制度を正しく機能させるヒントについてお伝えしたいと思います。
内部通報制度を正しく機能させる5つのヒント
内部通報制度は、企業の健全な運営を支える重要な仕組みの一つです。しかし、制度を設けただけでは十分ではありません。正しく機能させるためには、以下の5つのポイントがあります。
- 制度の周知徹底
内部通報制度があっても、社員がその存在を知らなければ意味がありません。制度の存在や内容をすべての社員が理解し、周知徹底することが必要です。社員に対して、制度の説明会やマニュアルの配布などを行うことが大切です。
- 匿名通報の受付
社員が通報する際に、自分の名前を出すことができない場合もあるでしょう。そのような場合に備えて、匿名通報を受け付ける仕組みを整えることが必要です。匿名通報に対しても、適切に対応することで、社員の信頼を得ることができます。
- 通報者の保護
通報者が報復を受けることがないよう、通報者の保護策を整えることが必要です。通報者が安心して通報できる環境を整えることで、通報数が増え、企業の健全性をより確保することができます。
- 通報内容の迅速な対応
通報内容に対しては、迅速かつ適切に対応することが求められます。通報内容を受けたら、すぐに調査を開始し、必要な措置を講じることが必要です。また、通報者に対しては、適切に対応した旨を報告することで、信頼関係を築くことができます。
- モニタリング体制の整備
内部通報制度が正しく機能しているかどうかを確認するために、モニタリング体制を整備することが必要です。モニタリング体制を整えることで、制度の改善点や問題点を把握し、より良い制度へと改善することができます。
以上の5つのヒントを参考に、内部通報制度を正しく機能させるために必要な取り組みを行っていただきたいと思います。内部通報制度は、企業の健全性を守るために欠かせないものです。全社員が制度に理解を持ち、積極的に活用することで、企業の発展に貢献することができます。
内部通報のもみ消しによる深刻な問題
今回の中古車販売会社のケースをみたときに、このような不祥事が発生する背景には、トップによるパワーハラスメントや、社内に内部通報したにもかかわらずもみ消される等、他にもさまざまな要因が考えられますが、不正行為を行うことは許されることではありません。
企業としては、真摯に社会的責任を果たすことが求められます。
パワーハラスメントとは、職場や学校などで、上司などの立場の強い人が、その立場を悪用して、立場の弱い人を威圧したり、暴言や暴力を振るったりすることを指します。
企業の上層部によるパワーハラスメントが横行している場合、社内で内部通報をしたとしても、もみ消されてしまい、不正や違法行為が解決されずに継続する可能性があります。
また、内部通報者自身が報復を受けることもあるため、内部通報のもみ消しは深刻な問題となっています。さらに、もみ消しは企業や組織の信頼性を損なうことにつながり、法的な問題を引き起こす可能性もあります。
こういった事から社内の通報制度が如何に機能しないかがわかります。
不祥事が起こった中古車販売会社も、早い時点で外部の内部不正の相談窓口、パワハラの相談窓口、セクハラの相談窓口を設けていたならば、ここまで叩かれる事はなかった筈です。
内部通報は、組織の健全性を保つために重要な手段です。従業員がもみ消しや、報復を受けるようなことがないように法が定められています。
以下は、従業員が通報しても守られる法律について説明していきます。
公益通報者保護法
令和2年6月「公益通報者保護法」が一部改正され、令和4年6月1日から施行されました。
法改正により、従業員数300人を超える事業者には、内部通報に適切に対応するための必要な体制の整備が義務付けられます。
公益通報とは、企業などの事業者による一定の違法行為を、労働者が不正の目的で なく、組織内の通報窓口、権限を有する行政機関や報道機関などに通報することをいいます!
公益通報者保護法とは
国民生活の安全・安心を損なうような企業不祥事は、事業者内部の労働者等からの通報をきっかけに明らかになることも少なくありません。
こうした企業不祥事による国民への被害拡大を防止するために通報する行為は、正当な行為として事業者による解雇等の不利益な取扱いから保護されるべきものです。
「公益通報者保護法」は、労働者等が、公益のために通報を行ったことを 理由として解雇等の不利益な取扱いを受けることのないよう、どこへどのような内容の通報を行えば保護されるのかという制度的なルールを明確にするものです。
引用:消費者庁 公益通報ハンドブック(https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_partnerships/whisleblower_protection_system/overview/assets/overview_220705_0001.pdf)
公益通報をしたことが理由で労働者を解雇した場合、その解雇は無効となります。
また、解雇以外の不利益な取扱い(降格、減給、退職金の不支給等) も禁止されます。
事業者は、公益通報によって損害を受けたとしても、公益通報者に対して損害賠償を請求することはできません。
新しく改正されたポイント!
■ 事業者の体制整備の義務化 →事業者内の「通報窓口の設置」
(通報者の「不利益な取扱いの禁止」 など )
■ 事業者の内部通報担当者に守秘義務 →違反した場合、30万円以下の罰金(刑事罰)
■ 「公益通報者」として保護される範囲の拡大
■ 保護される「通報対象事実」の範囲の拡大
皆様がより安心して通報できますように改正されています!
パワハラ防止法・改正公益通報者保護法対策の窓口整備はお任せください。
公益通報の流れと、公益通報者保護法に関して
公益通報者保護法は、社会的に重要な役割を果たしています。
この法律は、通報者が報復や迫害を受けることなく、安全かつ安心して情報を提供できる環境を整備することを目的としています。公益通報者は、社会にとって重要な情報を提供することができるため、その権利を守り、支援することは非常に重要です。
公益通報者保護法は、そのような通報者を守るための法律であり、社会の公正と透明性を確保する上で欠かせない法律です。
社内の内部通報窓口だけでは不十分な場合に社外通報窓口(日本公益通報サービス)が重要な役割を果たします。社外通報窓口(日本公益通報サービス)を設置することで、不正や違法行為を告発することができるため、企業や組織の健全性を保つことができます。また、社外通報窓口は、内部通報者が報復を受けることを防ぐこともできます。企業や組織は、社外通報窓口の設置を検討し、適切な措置を講じることが重要です。
不正に気がついた際に、労働者の皆様がスムーズに相談・報告ができますように、企業内に通報窓口(ハラスメント相談、内部通報、公益通報)ができる通報処理の仕組みを整えましょう。
事業者内部の自浄作用を高めるとともに、風通しの良い職場環境を大切にして社員一人ひとりが働きやすい環境を整えましょう!
社外通報窓口の必要性
企業内の不正行為が発覚し、気軽に相談できる信頼性のある同僚や上司が不在の場合、組織の風通しに問題が生じています。さらに、通報対象者からの報復の懸念があるため、社内の監査、人事などへの相談も難しい状況です。
こうした複雑な状況に立ち向かうために、「社外通報窓口」(ハラスメント相談窓口、循環取引など社内不正相談窓口)の設置が必要です。社外通報窓口は、組織内の従業員がいつでも安心して相談できる独立した窓口です。
外部に設置された相談窓口は中立的な立場から問題の解決を支援し、通報者を守ります。組織全体が不正行為の防止に向けて協力し、個々の従業員の意識改革を行うことが必要です。
法律や規制に合わせて不正行為の予防意識を高めるための努力が求められます。不正行為のない企業文化を築くことは、信頼性を高め、生産性を向上させる大きな成果をもたらします。
従業員が安心して働ける環境を確保するためには内部通報窓口を外部委託し、内部通報制度充実させることが不可欠です。組織の声を聴き、不正行為の予防と解決に向けて協力し、より健全な企業文化を作っていきましょう。
日本公益通報サービス株式会社のハラスメント相談窓口(内部通報窓口)では、
傾聴スキルが豊富な女性スタッフが優しい心で対応致します。
◆日本公益通報サービス株式会社とは
内部通報窓口を代行し、不正、不備に対する真偽の確認と対策立案を支援します。
お悩み事の早期解決のために、通報窓口が万全のサポート体制をもって企業をバックアップします。
◆日本公益通報サービス株式会社について
本社: 〒231-0023
神奈川県横浜市中区山下町2番地 産業貿易センタービル9階
代表者: 代表取締役社長 小塚 直志
設立: 2023 年 3月
資本金: 1000万円
事業内容: 当社では、企業危機管理、働きやすい職場づくりなど、長期的な健康経営に取り組む事業者様をさまざまな形でサポートいたします。
■内部不正・ハラスメント・コンプライアンス外部相談窓口サービス
・専門家(弁護士、社会保険労務士、公認不正検査士、産業カウンセラー、心理カウンセラー)によるアドバイス
・社内周知のサポート
■各種セミナー・説明会の実施サービス
・内部不正防止対策セミナー
・ハラスメント対策セミナー
・内部通報制度説明会
■適性診断・基礎能力診断サービス
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企業サイト: https://jwbs.co.jp/