コラム

内部通報の具体的な事例は?⑦従業員が店舗の商品などを盗む「内引き」の発生

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内部通報とは

内部通報とは、組織や企業内で行われる不正行為、法律違反などの情報を、組織内の通報窓口、あるいは社外の通報相談窓口に報告することをいいます。

通報者は自身が所属する組織の一員であり、問題行為を発見した際はその情報を提供し、社内の不利益を防ぐことになります。

内部通報の内容は多岐にわたります。例えばパワハラ・セクハラといった各種ハラスメントや、人事制度への不満といった雇用関係、不正会計や汚職・セキュリティ違反といった内部不正や法令違反などがあげられます。

通報事例 :従業員が店舗の商品などを盗む「内引き」の発生

ここでは、ある書店の通報窓口に寄せられた、従業員が店舗の商品などを盗む「内引き」という通報事例をご紹介します。

通報は、この書店の店舗のひとつである、■■店の、A店長から寄せられました。

お客様から、売場のストッカーから商品を持って出て行った人が居た、との訴えがありました。防犯カメラの画像を確認したところ、商品を持ち出したのは、パート従業員のCさんでした。

A店長に、詳しくヒアリングをしたところ、A店長からは、以下のようなコメントがありました。

・Cさんはベテランのパートさんで勤務熱心。
・防犯意識も高く、休憩や退勤時でも店内を巡回している。
・何かを持ち出すような人ではない。

調査の実施

通報を受けて、事実確認のため、内部通報担当部署でも、売場内の防犯カメラの映像の確認を実施しました。

お客様が商品を持ち出したのを見たという、商品台の下のストッカーを映すカメラは、Cさんの行動の全体を捉えてはいませんでしたが、棚越しにCさんが、かがんで何かを出したような映像は確認できました。

続いて、Cさんの当日の勤務状況や行動を、店内の複数個所に設置してある防犯カメラの映像で確認したところ、以下のことがわかりました。

Cさんは、

①レジで勤務している時に、レジ後方にストックしているDVDを1枚取り出し
②背中のズボンのバンド部分に、①のDVDを挟み込み
➂そのまま売場へ行き、お客様が指摘したストッカーの中に、そのDVDを入れた

という行動をとっていました。

C さんへのヒアリングの実施と対応

調査の翌日、Cさんの勤務開始時間から、Cさんへのヒアリングを実施しました。

Cさんは、DVDをレジからストッカーへ隠し、退勤時に持ち出していたことを自白しました。

更に、今回が初犯ではなく、このようなことを過去にも何回か繰り返していたことも判明し、被害総額は、約10万円に上りました。

被害額はCさんの連帯保証人から弁済して頂き、その後、Cさんは退職となりました。

社内調査をする際の注意点

内部不正が報告された場合、速やかに社内調査をする必要があります。社内調査をする際に気を付けなければならないことは、調査対象者に内密に行うことです。対象者に分かってしまうと証拠品が廃棄される恐れがあり、追及ができなくなる可能性があります。

また、社内調査は内部監査部門や、必要に応じて人事部門や経理部門とも連携して、多角的にデータを収集し、裏付けの証拠を押さえていくことも重要です。内部不正の裏付け証拠集めは専門的な知識と経験が必要な場合があります。必要に応じて弁護士や調査会社などの専門家の助けを借りることも検討してください。専門家の公認不正検査士(CFE)に相談すると不正疑惑が生じた場合に的確な調査を進めることができます。

公認不正検査士(CFEとは:不正の防止・発見・抑止の専門家であることを示す国際的な資格であり、組織内外で発生する不正から組織を守るための取り組みにおいて専門性を発揮します。

社内調査の結果を受けて、本人からの事情聴取も行い、調査が終わり次第、必要に応じて厳正に対処する必要があります。
不正や法令違反を行った人のその後は状況によって異なります。以下に一般的なケースを3つ示します。

1.内部調査後処分:不正が発覚し内部調査を行い、調査の結果不正行為が確認されたら、組織は事象に応じて、警告、停職、解雇などの処置が行われます。

2.法的手続き:不正行為が法的な問題や犯罪行為に関係している場合は、警察や関連する法執行機関に通報することがあります。その結果犯罪捜査や訴訟の提起などが行われます。法的な措置は不正行為の内容や影響によって異なります。

3.社内再教育や監視:不正行為が軽度であり、対象者が改善の意思を示す場合は会社は再教育や監視の措置をとることがあります。これにより、対象者は社内で業務を行うことができますが、信頼回復までに時間がかかるでしょう。

証拠集めは内密に。。。

内引きと横領の違いについて

内引きには法律上の定義がありませんが、一般的には従業員などの内部者による窃盗行為を意味します。

また、従業員が会社の資金などを着服する行為としては、窃盗以外にも「横領」があります。

窃盗にあたる行為と横領にあたる行為の違いは「被害品を占有していたのが誰であるか」という点や、内引き行為をした者に与えられていた権限(「立場」)という点にあります。

内引きとは、会社(店舗など)が占有している被害品を行為者が会社の意思に反して盗む(窃取する)行為のことです。

内引きを予防するための対策としては、以下のようなものがあります。

1. 商品や金銭の保管場所を監視
店舗内や倉庫内に防犯カメラ(監視カメラ)を設置して、商品や金銭の保管場所を監視することが考えられます。
「万引きGメン」とも呼ばれる監視員や警備員を導入することも検討してみると良いかもしれません。

2. 在庫の保管場所へのアクセスを限定
在庫の保管場所へ入室する際には、カードキーでロックを解除させるなど、保管場所へアクセスできる従業員を限定することが望ましいでしょう。
入退室記録についても管理できるため、内引きに対する抑止力になります。

3. 在庫確認や残高確認を頻繁に実施
高頻度で在庫確認やレジの残高確認を行えば、内引きなどを早期に把握することができます。

4. キャッシュレス決済を推進
店舗における決済方法をキャッシュレス中心とし、多額の現金をレジ内に準備しないようにすれば、内引きが発生した際の被害額を抑えられます。

会社としての再発防止策

内引きも含めて、社内不正の防止に向けて実施すべきポイントを整理すると、以下の3点が挙げられます。

1.コンプライアンスポリシーの策定
まず、社内全体のコンプライアンスポリシー(※1)を策定しましょう。このポリシーは、不正行為や倫理的な違反を禁止するルールやガイドラインを明確にし社員へ示し普及させることです。

2.内部統制の整備
内部統制のフレームワーク(※2)を構築し、不正行為の監視と防止を行いましょう。社内の役割と責任、報告ライン、監査手続きなどを明確に定め、社内の透明性と責任追及の仕組みを整えます。

3.匿名報告制度の設立
社内の不正行為を報告するための匿名報告制度を設立しましょう。匿名で通報ができる社外の通報窓口(日本公益通報サービス株式会社)を設置するなど、従業員が不正を報告するための安全な手段を提供することで報復や差別を心配することなく不正を告発できる環境を整えます。


これらのポイントを総合的に取り組むことによって、社内不正の防止と教育に対する取り組みが強化されます。

安心して内部通報できる場所が必要です

(※1)コンプライアンスポリシーとは組織が法令や社会倫理、業界標準などに遵守するために策定する方針や規定のことを指します。

(※2)フレームワークとは概念や規則、法則などを活用し、問題解決や意思決定を行いやすくするためのテンプレートを意味します。

通報者が守られるために


通報者が守られるために令和2年より公益通報者保護法が改正されました。この法の施行で「通報者の『不利益な取り扱いの禁止』」となり、通報者の身の安全が守られることとなりました。

その他にも公益通報者保護法の改正により事業者内の「通報窓口の設置」、事業者の内部通報担当者に守秘義務も加えられています。

法改正により従業員300人を超える事業者には内部通報に適切の対応するための必要な体制の整備が義務付けられるようになりました。

パワハラ防止法・改正公益通報者保護法対策の窓口整備はお任せください。

まとめ

社内不正は会社にとって深刻な影響を与えます。企業にとって経済的な損失が生じるだけでなく、信頼性や財務の健全性にも影響を及ぼす可能性があります。社内不正が起こらないように対策をするのはもちろんですが、起こってしまったときのためにコーポレートガバナンス(※3)を強化しておくことが重要です。

社外通報窓口である日本公益通報サービス株式会社では内部不正の調査を承っており、公認不正検査士(CFE)による内部不正を調査する体制が整っております。不正調査の事実確認など迅速に調査することが可能です。公認不正検査士(CFEは高い専門性を持つ経済犯罪対策の専門家であるため、通報があった不正を企業と共に解決していきます。近年は不正の未然防止や再発防止の観点から監査を実施する重要性が益々高まってきます。 不正が大ごとになる前に、素早い初期対応と専門家による調査にで健全な企業環境を整えることが必須です。

不正を疑ったまま放置した場合、職場内の信頼関係が損なわれて雰囲気の悪化につながったり、不正が明るみに出た場合は会社の評判が損なわれる恐れもあります。顧客や取引先、株主をはじめとするステークホルダー(※4)からの信頼を失うなど、ビジネスにおいて重大な影響を及ぼすことがあります。

(※3)コーポレートガバナンスとは、企業の組織や運営におけるルールや仕組みのことを指します。

(※4)ステークホルダーとは、あるプロジェクトや企業において影響を受ける関係者全般を指す用語である。具体的には、顧客、株主、従業員、取引先、地域社会などが含まれる。

社外通報窓口の必要性

企業内の不正行為が発覚し、気軽に相談できる信頼性のある同僚や上司が不在の場合、組織の風通しに問題が生じています。さらに、通報対象者からの報復の懸念があるため、社内の監査、人事などへの相談も難しい状況です。

こうした複雑な状況に立ち向かうために、「社外通報窓口」(ハラスメント相談窓口、循環取引など社内不正相談窓口)の設置が必要です。社外通報窓口は、組織内の従業員がいつでも安心して相談できる独立した窓口です。

外部に設置された相談窓口は中立的な立場から問題の解決を支援し、通報者を守ります。組織全体が不正行為の防止に向けて協力し、個々の従業員の意識改革を行うことが必要です。

法律や規制に合わせて不正行為の予防意識を高めるためコーポレートガバナンスを充実させる努力が求められます。リスクカルチャー(※5)を築くことは、信頼性や生産性を高め、大きな成果をもたらします。

従業員が安心して働ける環境を確保するためには内部通報窓口を外部委託し、内部通報制度充実させることが不可欠です。組織の声を聴き、不正行為の予防と解決に向けて協力し、リスクカルチャーを作っていきましょう。

日本公益通報サービス株式会社のハラスメント相談窓口(内部通報窓口)では、

傾聴スキルが豊富な女性スタッフが優しい心で対応致します。



社外の第三者機関(日本公益通報サービス株式会社)を窓口として通報者の話を聞くことで、不正の早期発見、早期対応につながり企業の信頼と財産を守ることにつながります。

(※5)リスクカルチャーとは、組織や社会において、リスクに対する意識や態度、価値観のことを指します。

また日本公益通報サービス株式会社(略称:JWBS)ですと会社へ匿名で通報することも可能になるため、通報者がより安心して相談できる環境となります。

日本公益通報サービス株式会社(略称:JWBS)が内部通報窓口を代行し、従業員や顧客の声を集め、内部不正や整備の不備に対する真偽の確認と対策立案を支援するとともに、従業員の心と健康づくりを支援します。
また、通報窓口が十分なサポートとバックアップを致します。

◆日本公益通報サービス株式会社とは

内部通報窓口を代行し、不正、不備に対する真偽の確認と対策立案を支援します。

お悩み事の早期解決のために、通報窓口が万全のサポート体制をもって企業をバックアップします。

◆日本公益通報サービス株式会社について

本社:   〒231-0023
      神奈川県横浜市中区山下町2番地 産業貿易センタービル9階

代表者:  代表取締役社長 小塚 直志

設立:   2023 年 3月

資本金:  1000万円

事業内容: コンプライアンス違反(不正・ハラスメントを含む)の早期発見、
      リスクの迅速な検知・問題解決を目指します。

企業サイト: https://jwbs.co.jp/

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