ここ数年の間に、さまざまな企業の不祥事が次々と明るみに出ました。企業の不正行為に対して社会全体が監視の目を光らせています。それにより、企業のコンプライアンスと透明性がとても重視されるようになりました。
企業においての不正を初期段階で発見し是正するには、そこで働く従業員が情報提供できる仕組みを導入する必要があります。
「公益通報」とは、組織内で不正行為または不正をしようとした人を発見した従業員が企業の設けた窓口に通報できるシステムのことです。労働者が300人を超える企業に対しては体制の整備が義務付けられています。また、通報者は公益通報者保護法により不利益な扱いを受けないことを保障されています。
通報窓口には社内の総務部や人事部などに設けられる“内部通報窓口”と、外部に委託する“外部通報窓口”の2種類があります。

内部通報窓口だけで大丈夫?
従業員が社内での不正行為を発見した場合、速やかにハラスメント相談窓口へ通報することは、とても重要なことです。
最近では、某大手自動車メーカーのグループ子会社が国の認証を不正に取得し(エンジン認証に関する不正行為)20年もの間、製品の安全性を揺るがせていたという事実が発覚しました。この問題に付随して、企業はアメリカとオーストラリアで集団訴訟を起こされています。アメリカでは原告と和解が成立しましたが、その和解金が350億円にものぼり不正行為の代償は、とてつもなく大きいものとなりました。
グループ子会社には個別に内部通報窓口は設けられていたとのことですが、きちんと機能していれば最小限のダメージで済んだのかもしれません。しかし、会社内に設置されている内部通報窓口(ハラスメント相談窓口)に不正を通報することは、そこで働く従業員にとって決してハードルが低いものではありません。

内部通報窓口の問題点
内部通報窓口については、いくつかの問題があることが指摘されています。
まず、通報をする側とされる側が同じ会社の人間だということです。もしかすると毎日社内で顔を合わせている間柄かもしれませんし、たとえ匿名での通報であっても声の特徴や通報内容によっては人物の特定がされてしまうかもしれません。
経営陣が関与した不正の場合、通報された内容がきちんと精査されず、うやむやで放置される可能性もあります。
外部通報窓口のメリット
ここでは外部通報窓口を設置した場合はどうなのか?という視点で見てみましょう。

1つめに、外部通報窓口なら中立的な立場にあるため従業員が躊躇することなく通報できる仕組みが整っています。外部に通報窓口を設置する最大のメリットは通報しやすく情報が漏れない環境にあるということです。プライバシーや匿名性も確保され、不利益が生じる心配もありません。企業としても外部に委託していることで、透明性の高い組織だと判断され社会的信頼を得ることができます。
2つめに、ヒアリングスキルの高いオペレーターが適切な聞き取りをするため、解決までの時間を短縮することができます。通報者にはアフターフォローとフィードバック体制も整えられていることから、マスコミにリークされることへの予防線を張る役割も担います。企業側も受けるダメージと負担を最小限に抑えられるというメリットがあります。
3つめは、悪意を持った窓口の不正利用を防げるという点です。外部通報窓口は第三者機関のため社内の誰かを陥れようとする虚偽の通報をしても公正に判断することができます。
4つめは、専門性の高いスペシャリストにバトンタッチし解決の糸口を見つけることができるという利点です。組織内で発生する不正対策の専門家である不正検査士をはじめ、社会保険労務士、心理カウンセラーなどの有資格者によるアドバイスが可能です。また、それぞれが得意とする専門分野で、複数の弁護士との連携がとれるという強みがあります。これにより、企業内の事情に左右されることなく客観性を持った公正な判断が期待できます。
※公認不正検査士(CFE)とは:不正の防止・発見・抑止の専門家であることを示す国際的な資格であり、組織内外で発生する不正から組織を守るための取り組みにおいて専門性を発揮します。
企業の内部通報窓口で、これだけの人材の確保・育成となると時間と多くの費用がかかってしまいます。内部通報・ハラスメント相談窓口を外部に委託することで、結果的にはコスト削減につながるのではないでしょうか。外部相談窓口(ハラスメント相談窓口)は容易に導入が可能なうえ、担当者の負担軽減にもつながります。
外部通報窓口ならパワハラやセクハラなどの通報と相談も担ってくれるのよね。
まとめ

これからの企業は透明性をアピールし、ステークホルダー(※1)からの評価と信頼を得ていかなければなりません。
外部相談窓口(ハラスメント相談窓口)を設け、体制を整えることは持続可能な社会への実現を果たしていくことにもつながります。
(※1)ステークホルダーとはビジネスやプロジェクトなどにおいて、その成果物に直接的・間接的に関係する人々や組織を指します。ステークホルダーには、顧客、パートナー企業、株主、社員、政府機関などが含まれます。